2014年11月14日追記
こちらのページの情報は2014年1月にIntel EdisonをIntel Corporationが発表した直後に書かれたもので、現在のIntel Edisonシリーズとは異なるものについて言及しています。現在のIntel Edisonシリーズについては「IntelがIntel Edison Development Platformを正式発表」を参照ください。
はじめに
一昨日発表された「Intel Edison Development Board」の情報は、SDカードサイズというわかりやすいコピーであったことや、普段はマイコンボードなどを取り上げないメディアまでIntelの製品だということで取り上げた関係でかなり混とんとしてしまっています。そこで、少し情報の整理の意味を込めて質疑応答形式でまとめてみたいと思います。
なお、ここでのまとめは“さかきけい”個人があちらこちらで見聞きした情報をもとにしており、それほど確度が高いともいえない情報も交じっていることをあらかじめご理解いただきたいと思います(もし誤りがあった場合は後日訂正を入れます)。
そもそも「Intel Edison Development Board」とはなんですか?
「Intel Edison Development Board」は、標準SDカードのサイズにIntel Galileo Development BoardのようにLinuxが動作する機能を集積したものです。いわゆるIBM PC互換としてのハードウェアとUEFIを採用しており、これに対応したOSが動作します。Intelは初期段階でLinuxのYocto Projectに対応するBoard Support Package(BSP)を提供します。
MS-DOSやWindowsは原則としてそのままでは動作しません。Microsoftあるいはサードパーティ(またはIntel)が対応するための作業をする必要があります。
なお、64ビット(Intel 64)には対応していません。
CPUコアは?
「Intel Quark Core(コードネーム:Lakemont Core)」をデュアルコアで採用しています。該当コアについては「Intel Quark Core自体の仕様(コードネームはLakemont Core?)」を参照ください。
CPUコアの動作周波数はどのくらいですか?
「Intel® Edison Development Board—The SD Card-Sized Computer」というIntelの公式ページに400MHzであると明記されています。
Intel Galileo Development BoardのIntel Quark SoC X1000との差はありますか?
Intel Quark SoC X1000は32nmプロセスでの製造で、このIntel Edison Development BoardのSoCの製造プロセスは22nmであることやデュアルコアであることなどからわかるように、完全に別のSoCです。
Intel Edison Development Board用の新しいSoCでわかっていることはありますか?
以下の特徴があります:
- Intelの22nmプロセスで製造
- Intel Quark Core(Lakemont Core)をデュアルで搭載
- 柔軟で拡張性のあるI/Oとその制御のためのプログラム可能なマイクロコントローラー
- デュアルコアを現代のOSで動作させるためのAPIC
- LPDDR2対応のDRAMコントローラー
- NANDストレージコントローラー
- IBM PC互換として必要となるレガシーブロック
※一部推測を含む。
Intel Edison Development Boardとして持っている機能はなんですか?
以下の機能を持っています(一部SoCの機能と被ります):
- 3.3ボルト、ピーク時の消費電力1W、省電力モード時250mW
- IAアーキテクチャ互換のデュアルコア実行環境
- CPUコアとは別に動作するプログラム可能なマイクロコントローラー
- LPDDR2メモリを搭載(容量不明)
- NANDフラッシュメモリによるストレージを2GB搭載
- Wi-FiおよびBluetooth LEによる無線接続機能
- SDカードホスト機能
- SDカードクライアント機能
- SDカード規格の接点のほかに、追加で独自に14個の接点を持っており、GPIO、PWM、I2C、UARTなどで外部デバイスとの接続を行う
まとめ
その他については、(一部被っていますが)一昨日書いた“IntelがSDカードサイズの「Intel Edison Development Board」を発表”でも触れていますので、併せて参照していただければと思います。
このIntel Edison Developoment Boardは、標準SDカードと同じ位置の接点のほかに追加の接点を持っています。「インテル、SDカードサイズのワンボードコンピューター – ケータイ Watch」という記事にちょうどよい写真が掲載されているのですが、追加で14接点が存在しているようです。また、同記事によると、
Edisonの販売はまだ開始されていないが、単体での価格はGalileoなどと同程度(60ドル程度、約6300円)になる見込みだという。
ということで、機能の割(?)には結構お手頃のようです。
個人的にはこういうパッケージが全世界に出荷され、個人でも手が届くとなると、場合によっては面白いことになりえるのではないかと期待しています。
2014年1月11日更新
笠原 一輝さんによる“【イベントレポート】IntelのSDカード型コンピュータ「Edison」の詳細が判明 ~512KBメモリ、2GBストレージ、無線機能などを詰め込む – PC Watch”という記事によると、
- 搭載するLPDDR2メモリは512KB(下記参照)
- NANDフラッシュは2GB
- 電源電圧は3.3ボルト、ピーク時1W、低消費電力モード時250mW
- SDカードホストにも、SDカードクライアントにもなれる
- 無線関連はSoCの外に搭載
- SDカード規格外の14個の接点でGPIO、PWM、I2C、UARTなどで外部との接続を行う
という情報が出ていました。しかし、本当に512KBなんでしょうか?ちょっとLinuxを動かすにしても足りないような…?おそらく512MBの誤りだろうと思われるので、そのつもりでこれらを本文に適用しました。
512KBが誤りだと思う理由
- Linuxカーネルを動かすだけでも少なすぎるため。
- 512KBを実現するLPDDR2メモリーのベアチップが存在しなさそうなこと(参考例:Micron Technologyの旧Elpida部門のモバイル向けDDR2商品ラインナップと高千穂交易株式会社のWinbond Electronicsの商品ラインナップページ)。現行のLPDDR2に4Mbit品はあるのでしょうか?
2014年1月13日更新
512KBではないから512MBという発想も根拠に欠けるので、元通り容量は不明という方向で更新しました。