PSO2のアップデートで消えてしまったファイルを取り戻したい方へ

2013/09/07 11:30 AM 追記

セガがデータの復旧などに言及した発表を行いました。それについて「PSO2においてデータ削除が行われてしまった際の対応についての公式発表」という別稿を昨晩追加しましたので、併せて参照いただければと思います。

セガ発表の続報の確認

『ファンタシースターオンライン2』プレイヤーズサイトに今回の件の続報として「PC版『PSO2』アップデートにてHDD内のデータが一部削除される可能性のある不具合について」が掲載されています。

以下に重要な部分を引用します:

不具合により大切なデータが削除された方におかれましては、大変ご迷惑をおかけし申し訳ございません。深くお詫び申し上げます。

セガとして皆様にできる限りのご対応をさせていただきたいと考え、社内での協議を続けております。現段階において、下記のご対応をさせていただくことを決定いたしました。

  1. 不具合の症状が発生したお客様に対しては、今回の不具合に対するお詫びとして、5000円相当の金券、もしくは10000ACを送付させていただきます。
  2. さらに、データの削除等により現在もお困りのお客様に対しては、個別に連絡させていただきます。

まず、被害を受けてしまったプレイヤーに対して「5000円相当の金券、もしくは10000AC」での補てんをするとの発表です。データを消されてしまった方からすれば、たったの5000円かもしれません(私も当事者ならそう思うと思います)が、被害の範囲がわからない状況下で5000円を打ち出したというのは、誠意をできる限り素早く表明したいというセガ側の意思表示でもあるのだろうと思います(サービスの提供単価などを考えると、かなりがんばっているな、と思います…。あくまでも第三者の感覚でしかありませんが…)。

ただし、これを受け取る前に、受け取り条件があるかどうかは確認すべきです。今後条件などが発表された際に、例えば「これですべての被害について補償したとすることとし、訴訟等の権利を放棄する」ような条項が含まれる可能性もありえるかと思います。その場合にはそれに同意するかどうかはよく考えた方がいいでしょう。

続いて、「データの削除等により現在もお困りのお客様に対しては、個別に連絡させていただきます」と記載のあることから、何らかの手段でデータを復活させる方法をセガ側で模索しているのだろうと思われます。専用ソフトウェアの提供、あるいは業者の仲介等があり得るのではないかと思います。

本稿では後者に望みをつなぐ際、あるいは自身で選んだ業者に委託する際などのデータ保全上の注意点を説明します。

削除されたデータ(ファイル)の状態について

削除されたデータ(ファイル)は、データ本体ではなく、データがあるべき場所を示す情報とそのデータが1塊のファイルとして認識されるために必要な情報が失われ、表面上存在しない状態となっています。この状態であれば、データ(ファイル)を取り戻せる可能性があります。

消えたファイルの復活の方法

大きく分けて、

  • 削除したファイルを復活させるソフトウェアを使用する。
  • 専門の業者に依頼する。

の2通りの方法があります。要するに自分で実施するか、業者に依頼するかです。

ソフトウェアの精度や、業者の熟練度(と消えたデータとの相性)によって取り戻せるデータの量は大きく増減します。このため、最大限データを取り戻したい場合には、信頼できる専門の業者を見つけ、そこに依頼することになります。ただし、その分費用はかかります。一方で、とりあえず取り戻せるかどうかだけ試したい場合には復活させるソフトウェアを使用する方法もありますが、技術力を持った業者に依頼する場合と比較して、一般に取り戻せるデータ量は減る傾向があります。また、ソフトウェアのインストールによって復旧したい対象のデータを失う可能性を否定できません。

今回はセガ側でデータ復活の可能性について検討をしているようですから、独自に対応をせずに、まずは消えたデータ(ファイル)の保全をすることをお勧めしたいと思います。セガ側の今後の対応が満足いくものではなかった場合に、初めて他の方法を検討すべきであるとまずはアドバイスします。今後の交渉のこともあるかと思いますので…。

データの保全が必要な理由

前述のように基本的にはファイルを消しただけではデータ本体は失われません。ただ、それをファイルとして認識するために必要な情報が失われた状態となっています。この状態では、いつ、そのデータが上書きされて失われてもおかしくない状態です。OSから見ると「消えてしまったデータが記録されている場所」は「空いていてなにも記録されていない場所」に見えるため、OSがファイルを記録するために再利用し、「その場所にあった復活させたかったデータ」が失われる可能性が常にあります。

そこで、このような上書きが行われないように、データを保全する必要があるのです。

データを保全する方法

ものすごくシンプルなことです。その「消えてしまったデータ(ファイル)」のあるハードディスクを使わないことです。そのハードディスクを使用してOSを起動したり、ブラウザーを使ったり、他のパソコンにつないで内容を見たりしてはいけません。これらは暗黙のうちにデータの書き込みが発生します。

もしも使用しているのがハードディスクではなくSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)で、OSがVista以降の場合には、とても残念なことなのですが、データを取り戻せる可能性はハードディスクの場合と比較して大幅に低くなる傾向があります。また、Windows XPであっても、データ消去後にTrimの実行をしてしまった場合には、同様にデータを取り戻せる可能性が大幅に低下します(スケジューリングしてTrimを実行している場合にはそれが実行される危険が常にあるので、そのことも念頭に置くべきです)。

このため、どうしても復活させたいデータがある場合には、まずデータの保全を行うべきなのです。

データを復活させるためにソフトウェアを使用する方法

市販のソフトウェアの評判を調べ、その中からお好みのソフトウェアを選ぶことになるかと思います。ただ、ソフトウェアによっては消されたデータの状況によってうまく適用できずに、事態を悪化される恐れがあります。できれば、最初にハードディスク全体を他のハードディスクへデュプリケート(フルコピー)を行うことをお勧めします。これはファイルとしてコピーするのではなく、ハードディスクの内容全体をまったく同一のデータとして複写することを指します。ハードディスクをデュプリケートできると謳うソフトウェアあるいはハードウェア(今回のケースではハードウェアを推します)を使用して行います。

やり方がわからない場合には業者に依頼することをお勧めします。

その上でデータを復活させるソフトウェアの取扱説明書に従って作業を行います。これでどの程度のデータが取り戻せるかは、ケースバイケースです。

なお、OSそのものが消されて起動できない場合には、別のパソコンを用意(あるいは他のハードディスクから起動)してそちらに接続して作業を行うか、専門業者に任せるかのいずれかを選択する必要があるかと思います。

専門業者に依頼する方法

どうしても費用を度外視してでも取り戻さなければならないデータがある場合には専門業者に依頼する方法があります。この場合、依頼する業者の技術力によって取り戻せるデータの量に変化が生じます。どのように技術力を見極めるかは難しいところですが、一般論として、

  • 壊れたRAID上のデータ復活を受け付けている。
  • 物理的に破損したハードディスクのデータ復活を受け付けている。
  • Windows以外のデータの復活に対応している。(例:OS X、Linux、BSD系など)
  • 同業他社と比較して極端に安価ではない。

といったチェックポイントがあるかと思います。これらの一致する項目が多い方が技術の蓄積が多い可能性があります(あくまでも可能性の問題です)。

また、これは費用にかかわる問題ですが、今回の件ではハードディスクが物理的に破損していないため、内容をデュプリケートすることができます。他のハードディスクにデュプリケートしたうえで作業をしてくれる業者を選択した方が、うまくかなかった際に他の作業者に再度依頼をすることになった場合や、もしも何らかの事故が起こった場合にデータを失う可能性を減らすことができます。ただし、ハードディスクとデュプリケートの代金が発生します。

さらに、なのですが、もしもメーカー製のパソコンを使用している場合には、その保証条項との整合性の問題があります。業者がハードディスクを取り出して作業することを許可しない保証条項の可能性もありますので、併せて保証条項の確認と、必要に応じてメーカーへの問い合わせが必要になります。

なお、復活させたいデータが明確な場合にはフォルダー名、ファイル名、ファイル形式、ファイルサイズなど、できうる限りの情報を業者に伝えることをお勧めします。ただ漠然とデータの復活を依頼するより、作業が適切に行われる可能性が高まります。

まとめ

まずは最初に書いたように、データの保全=ハードディスクの使用停止をして、セガの対応方法の発表を待つべきです。ここでのアドバイスはあくまでも自分自身での責任で行うしかない場合について説明したものです。

今回の件ではセガが現状で検討中であるため、データの保全をして次の発表を待つことが最善の策であろうと考えます。

以上、とりあえず、データの保全については最優先なので、それだけでも書こうと思ったら長くなってしまった第三者からのアドバイスでした。

※筆者は何も保証をしません。

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