「インテル ソフトウェア・カンファレンス 2014 東京」の個人的な感想

はじめに

今回、主催・協賛および自社の皆様のみなさまのご協力で、2014年10月30日と同31日の2日間の「インテル ソフトウェア・カンファレンス 2014 東京」に参加することができましたので、それぞれのカンファレンスの内容について、一言二言で感想を述べてみたいと思います。

というわけで、たぶん、このカンファレンスに参加あるいは登壇した方々でないとわかりにくい内容になっているのではないかと思います。

※講演者のお名前については大変恐縮ですが敬称を省略させていただいています。

Day 1: Connected Computing – TRANSFORM THE EXPERIENCE

10:10-10:15 ご挨拶

講演者:インテル株式会社 取締役 副社長 宗像 義恵

インテル株式会社 取締役 副社長 宗像 義恵さんによる挨拶とどこかのメーカーの方が登壇されてお話をされていた気がしますが、あまり印象に残っていません。本メモを書くにあたってちょっと検索してみたのですが、この部分について特に言及しているページを見つけることができませんでした。すみません。

10:15-11:15 キーノート1:クロスプラットフォーム・ツール:40億台のデバイスへのチケット

講演者:インテル コーポレーション デベロッパー製品部門 パフォーマンス・クライアントおよびビジュアル・コンピューティング部長 ジェフ・マクベイ(Jeff McVeigh)

スキーを装着した山登りと下りの話とビジネスの進め方の話を絡めたお話でした。わかりやすく、結構面白かったということで記憶に残っています。のぼりの装備と下りの装備は違う、だからそれぞれその時の場面で必要な実施事項は違う、だから私たちは今こういうアプローチをとっているんだ、ということを説明でした。

11:15-11:45 キーノート2:インテルのプロセッサーのロードマップと命令セットのまとめ

講演者:インテル株式会社 ソフトウェア技術統括部 アプリケーション・エンジニア 小林 永欣

ここは結構期待していたのですが、実際は表面をなぞるだけでした。しかし、考えてみれば30分で深堀した内容を語れるはずもないわけで、その意味では可もなく、不可もなくといったところであったのではないかと思います。

あえて言及するのであれば、最後までItaniumに関する言及はゼロであり、また、最後のプロセッサー一覧にはQuarkがなかったあたりが、ある意味で示唆的だったのではないかと勝手に思いました。

11:45-13:00 昼食 / Intel Edison ボード ハッカソン Finalist 発表会

ショーケース会場で軽食と出し物が用意されていました。食事の周辺は大変混んでおり、私はそんなところに参戦する気もなかったのであちこちのブースを回ってみました。その中でスイッチサイエンスのブースではIntel Galileo Gen 2ボード、Grove Starter Kit Plus、Intel Edison Breakout Board Kitなどが、それぞれ通常販売価格以下で売られていました。また、その隣でインテル株式会社の方がIntel Edison ModuleやIntel Galileo Gen 2ボードによる電子工作の例を動かしながら説明をされていました。

そんなこんなでうろうろしていると「インテル Edison ボード ハッカソン Finalist 発表会」が行われ、各チームによる発表が行われました。個人的にはお父さんの発表に引っ張り出されて、プレゼンテーションの内容を棒読みしていると思われる女子小学生と思しきお子様に目が留まりました。ま、これから10年、あるいはもっと後から、きっとこれもまた思い出の一ページになるのだろうなー、と。

ちなみに、この会場ではIntel Galileo Gen 2ボードやIntel Edison Breakout Board Kit、インテル関連書籍の限定割引セールが行われていました。

13:00-13:45 インテル RealSense テクノロジーのアップデート

講演者:インテル株式会社 ソフトウェア技術統括部 アプリケーション・エンジニア 竹内 康人

カメラ2つとマイクによってジェスチャーなどの人間の動きによる操作を可能にする「インテル RealSense テクノロジー」の昨年である2013年版から今年の2014年版へのアップデートを紹介することをメインとする内容でした。Intel Corporationがこれらの識別に必要な多様なライブラリーを提供することによって、アプリケーション・ベンダーは特段の苦労をすることなくインテル RealSense テクノロジーを導入することができるというお話と、昨年から今年のハードウェアのアップデートによって大幅に精度が上がったこと、そして互換性がないジェスチャーなどについての解説が行われました。

14:00-14:45 インテル Integrated Native Developer Experience(インテル INDE)概要

講演者:インテル株式会社 ソフトウェア技術統括部 アプリケーション・エンジニア 小林 永欣

インテルによるネイティブの開発ツールである「Intel INDE」の概要についての発表でした。

IntelのツールだからIntelの製品しかサポートしないんでしょ?だとさぁ、ウチは全方位対応しないといけないから困るんだよね。御社の製品ばかり構っていられないのわかるでしょ?

というわけで、Intel INDEでは、IAだけではなくARMもサポートしますよ、という、開発者の立場に立ったサポート体制を強調していました。これは現実路線として、結果的に後追いとなっているIAがARMの存在を認めたうえで、現場にIAをサポートしてもらうための立ち位置を正確に見定めた対応だよなぁ、と思いました。そうでなければ、IAの環境とARMの環境を併存させ、両方で作業をする必要があるのですから、後追いでIAをサポートしてもらうという立場として、非常に合理的なものであると感じました。

なお、実動のデモを見せる段階ではうまくいかない点もありました。

15:00-15:45 インテル Intelligent Test System

講演者:インテル コーポレーション ソフトウェア&サービスグループ シニア・テクニカル・マーケティング・エンジニア エルマー・アマヤ(Elmer Amaya)

インテルが自社ファーム・ウェアを開発するにあたって使用していた「Intel ITS」を社外にも提供するという件についての発表が行われました。ファーム・ウェアの各種状況を変更したり、作成したスクリプト(シナリオ)に沿って自動的な実行を行い、その際に実際に実行されたファーム・ウェアのコード域を特定してマークしたりしつつ、ファーム・ウェアのテスト工数を減らしながらも確実性を上げるという仕組みと製品についての説明がありました。

16:00-16:45 インテル Galileo 開発ボード、インテル Edison ボードの開発環境のご紹介

講演者:インテル株式会社 ソフトウェア技術統括部 アプリケーション・エンジニア 新井 雅海

MRAA、Intel IoT Dev Kit、Intel XDK IoT Editionの話をメインに、現時点におけるインテルのIoT向けの開発をサポートする環境と開発ツールに関する紹介がありました。この中では当日の昼食時間に行われたハッカソンでの状況への言及や、そこで使用されたEaglet(イーグレット)というIntel Edison Module用のベース・ボードに対する言及もありました。

Eagletについては私も貸し出しを受けているのでいずれレビューしたいと思います。

17:00-17:45 複雑な開発を単純に、「Simics」による機能シミュレーション

講演者:ウインドリバー株式会社 営業技術本部 Simics 担当 シニアエンジニア 高橋 高弘

実機を用いずに、ソフトウェアで用意したシミュレーション環境における効率を高めた開発手法についての「Simics」という製品の説明がありました。時間軸の制約を受けず、1度起こった不具合を再度起こす機能、ハードウェア障害を意図通りに発生させ、ソフトウェアの信頼性を確認するなど、実機ではなく、シミュレーション環境をソフトウェアで用意することの利点についての解説がありました。

Day 2: Performance Computing – TRANSFORM YOUR CODE

10:10-10:15 ご挨拶

講演者:インテル株式会社 ソフトウェア&サービス事業開発本部 本部長 岡崎 覚

インテル株式会社 ソフトウェア&サービス事業開発本部 本部長 岡崎 覚さんによるスピーチがありました。現状の説明が多かった覚えがあります。例えば、

TOP500(2014年6月)

全500エントリーのうち427(85%)
新規ランクイン114のうち111(97%)

これらがインテルのプロセッサーを使用しているとの説明をしているのが記憶に残っています。

現時点において、サーバーの覇者であるというのは改めて確認することではないかと思いますが、こうして数字を見ると「すげーなー」とは思います。ですが、なんというか、こうしてドヤ顔で語られると微妙な気持ちもわいてきます。

10:15-11:15 キーノート1:61コアからのインスピレーション:最適化と近代化

講演者:インテル コーポレーション 並列プログラミング・エバンジェリスト ジェームス・レインダース(James Reinders)

日本で11月に刊行される書籍の告知から始まります。この書籍にはいろいろなHPCのノウハウが書かれているということで、これらのいくつかの章で解説している内容についてのプレゼンテーションがありました。さらに、これらの実施に当たって現場でこれらのを担当する方々のモチベーションについても語っており、マネージメントの立場の人々はもちろん、現場の人々に対しても語りかける内容であったように思います。

今までのXeon Phiはコプロセッサーであったわけですが、次期Xeon Phi「Knights Landing」はプロセッサーであり、通常OSが実行でき、またEthernetのポートもあり、それ自体がノードを構成することもできるという点の説明がありました。今後、CPUと同じソケットに接続するという方向に対する進捗の一端であるかもしれません。

11:15-11:45 キーノート2:インテルのプロセッサーのロードマップと命令セットのまとめ

講演者:インテル株式会社 ソフトウェア技術統括部 シニア・スタッフ・エンジニア 池井 満

ハイエンド・サーバー向けの「Haswell-EP(開発コード名)」をメインに据え、その他のプロセッサーを解説していました。主な説明内容は前日同じです。ですが、こちらの方が私には聞きやすかったです。個人的には仮想マシン間におけるキャッシュのQoSの確保という点が興味深かったです。

なお、いずれのセッションにおいても「IA-64」や「Itanium」に触れることは全くありませんでした。また、最後に全プロセッサーのアイコンが一覧で並ぶ中には「Intel Itanium」ロゴがあったのにもかかわらず「Intel Quark」ロゴが存在しなかったことが印象深かったです。

11:45-13:00 昼食

昨日より人数が多かったせいか、少々殺伐としたというか、長蛇の列ができる昼食風景でした。ピラフとチャーハンがこの日はなかったので、仕方なくハヤシライスを食べました。あと、サラダ。いずれもおいしかったです。ただ、盛り付けのミスで少々大目にとりすぎて「うわ、食べすぎだ、これは…」と思いながら皿をつついていました。

最初に部屋に入った時にいた「ドロイド君 by Intel Insideバージョン」ですが、食事後に写真を撮ろうと思ったら見つかりませんでした。残念。

13:00-13:45 インテル Xeon Phi コプロセッサーのアップデートとプログラミング

講演者:インテル株式会社 ソフトウェア技術統括部 シニア・スタッフ・エンジニア 池井 満

次期Xeon PhiであるKnights Landingが3Tflopsを超えることや、超並列が可能なタスクについてボトルネックを探り、それに応じた対応が必要であり、Xeon PhiとXeonが担当すべきタスクの切り分け方や、Xeon側からXeon Phi側へのタスクのオフロードに関する考え方、GPGPUとの考え方の違い、x86という単一のアーキテクチャーで展開できることの利点、それらをサポートする各種ソフトウェアなどの説明と従来からの変更点についての説明がありました。

当日配布のスライド印刷資料の一部には数字の間違えがあるので、見ていて疑問に思った場合は受講者に質問をすることをお勧めします。

14:00-14:45 インテル クラスターツールのアップデート

講演者:インテル コーポレーション ソフトウェア開発製品部門 テクニカル・マーケティング・エンジニア ワーナー・クロツ・ヴォーゲル(Werner Krotz-Vogel)

単一のノードにとどまらずにクラスター全体の効率をアップするために、Intel Corporationがサポートするソフトウェア要素に関する利点と説明で、Intel実装によるMPI(インテル MPI ライブラリー 5.0)とユーザーのコードとMPIライブラリーのコードの全体の実行に占める割合を解析するIntel ITAC(インテル Traced Analyzer & Collector)がメインの話題となるセッションでした。公演者はドイツ人とのことでしたが、個人的には聞きやすい英語でした。

15:00-15:45 インテル C++ コンパイラーの内蔵グラフィックス・プロセッサーのサポートについて

講演者:インテル株式会社 ソフトウェア技術統括部 アプリケーション・エンジニア 久保寺 陽子

「インテル コンパイラー 15.0」でサポートしている、メイン・プロセッサー以外へのオフロードに関する説明がありました。メインはメイン・ストリームのIntel製CPUに搭載されているiGPUへのオフロードの説明でした。ですが、正直言って、やはりXeon Phiよりは複雑で、実際に使用するためにはかなりの思考転換が必要であり、一般的に採用しやすいかと言われれば、やや難しいのではないかと感じました。

それとの対比という意味では、Xeon Phiの汎用性の高さはメリットだなぁ、と思いました。

16:00-16:45 インテル Integrated Native Development Experience(インテル INDE)概要

講演者:インテル株式会社 ソフトウェア技術統括部 アプリケーション・エンジニア 小林 永欣

配布したスライドよりもデモを優先したいと最初に宣言があり、サクサクとスライドを消化していき、デモに入りました。いくつかのデモについてはうまくいかない点もあったのですが、事前に作成しておいたというプロジェクトに切り替えることで先に進みました。この点は前日でうまくいかなかったデモの反省点が活かされているように思いました。

個人的にはこの環境で、IAのみならず、ARM、MIPS用のコードも出力できるということが強調されている点が印象に残りました。

また、ノートパソコンで4K画質のファイルをスムーズに扱えることを示すデモが行われました。

17:00-17:45 インテル VTune Amplifier XE 2015 新機能のご紹介

講演者:エクセルソフト株式会社 ビジネス・デベロップメント・マネージャー 黒澤 一平

個人的に初代Pentiumのころに「ほしいなぁ」と思っていたVTuneシリーズの末裔です。当時はUパイプとVパイプを効率に流したり、P6アーキテクチャで効率的なコードを書くための分析を行える有用な補助ツールという印象でしたが、それから20年近くたって別の製品と言えるようなものになっていました。

最近では特に並列実行の分析に力がそそがれており、関数単位ではなくループ単位の分析が行えるなど、高度なツールとなっている点が紹介されました。Xeon Phi用に効率的なコードを書く際には、前述の「インテル クラスターツール」で統合されたノード全体の解析を行い、個別のノードについてはこちらのVTuneでみていくという2段構成を取るそうです。

とはいえ、開発側にとってはこの2種は統合されていることが好ましいということは言うまでもありません。製品ラインが少々異なるのでどうなるのかは断言しづらいのですが、長い目で見れば、おそらくは統一される方向になっていくのではないかと感じました。

まとめ

それぞれのセッションは30分から45分ほどあり、もっともっと深いことが説明あるいは語られていたのですが、私の視点で印象に残ったことをまとめてみました。1日目の午後は各時間3セッション、2日目の午後は2セッションが同時に開催されており、そのうち、私の参加した1つのセッションしか言及していないことにはご留意ください。

さて、昼休みにその姿を撮影することができなかった「ドロイド君 by Intel Inside」ですが、セッションの合間の休憩時間に撮影することができました(声をかけたらいくつかポーズを取ってくださいました。これはその中の1つです):

「ドロイド君 by Intel Inside」な写真

また、こんな機会があったら参加したいと思いました。

P.S.

2日分をまとめて書いているので記憶が混ざっている可能性があります。あらかじめご了承ください。

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