はじめに
これまで「Intel Edison」として知られていたInternet of Things(IoT)向けの開発モジュールが正式発表され、細かい情報や開発用ソフトウェアなどを含めて公表されました。
- Intel® Edison Module – Intel Corporation
正式名称は「Intel® Edison Development Platform(以下、単にIntel Edison)」で、これはモジュール部分(本体部分)のほかに後述する関連ボードなどを含めて指します。
Intel Edisonの本体モジュール部分は「Intel Edison Module」と呼びます。が、これが正式名称であるかどうかははっきりしません。このIntel Edison Moduleは5月20日のメモに書いたように70ピンの高密度コネクターを経由して、制御対象の機器に接続します。
これを核にIntel GalileoのようにArduino互換ボードとして使用するための「Intel® Edison Board for Arduino」、Intel Edisonの高密度コネクターを一般的なサイズのコネクターに変換するとともに一般的なDC電源入力を受けてIntel Edison用に降圧するといった機能を持った「Intel® Edison Breakout Board」が併せて発表されています。
もちろん、このIntelが発表した2つのIntel Edison Module用のボードではなく、全く別のボードを他のメーカーが作ることもできます。というより、むしろそちらが本来の使われ方となっていくでしょう。
Intel Edison Moduleの主な仕様
物理仕様 | |
---|---|
形状 | 70ピンのコネクターを備えたボード |
サイズ | 最大 35.5 × 25.0 × 3.9mm(1.4 × 1.0 × 0.15インチ) |
C/M/F | シールド付きのブルーのプリント基板 / むき出し |
コネクター | Hirose DF40シリーズ(1.5, 2.0 or 3.0 mm スタック高) |
動作温度 | 32~104℉(0~40℃) |
外部インターフェイス | |
合わせて40本のGPIOを備え、以下の要素から構成が可能: | |
SDカード | 1インターフェイス |
UART | 2コントローラー(1つはフル制御、1つはRX/TXのみ) |
I2C | 2コントローラー |
SPI | 2チップを選択可能な1コントローラー |
I2S | 1コントローラー |
GPIO | 追加12本(このうち4本がPWMを備える) |
USB 2.0 | OTG対応の1コントローラー |
クロック出力 | 32 kHz、19.2 MHz |
主要なEdisonコンポーネント | |
SoC | デュアル・コア, デュアル・スレッドのIntel Atom CPU(500 MHz)と32ビットのIntel Quark(100M Hz)をマイクロコントローラーとして集積する22 nm Intel SoC |
RAM | 1 GB LPDDR3 POPメモリー (2チャネル、32ビット、800MT/Sec) |
フラッシュ・ストレージ | 4GB eMMC(v4.51仕様) |
Wi-Fi | Broadcom 43340 802.11 a/b/g/n; デュアルバンド(2.4および5.0 GHz帯) オンボードのアンテナあるいは外付けのアンテナ(SKUの構成による) |
Bluetooth | Bluetooth 4.0 |
電源 | |
入力 | 3.3から4.5 V |
出力 | 3.3 Vを100 mA、1.8 Vを100 mA |
消費電力 | スタンバイ(無線なし): 13 mW スタンバイ(Bluetooth 4.0): 21.5mW(Bluetooth LEについては2014年Q4) スタンバイ(Wi-Fi): 35mW |
ファームウェアおよびソフトウェア | |
CPU OS | Yocto Linux v1.6 |
開発環境 | Arduino IDE Eclipseによるサポート:C、C++、Python Intel XDKによるサポート:Node.JS、HTML5 |
MCU OS | RTOS |
開発環境 | MCU SDKおよびIDE |
Intel Edison Board for Arduinoの主な仕様
Arduinoスケッチ、Linux、Wi-FiおよびBluetoothをサポートし、ボードの入出力はArduino Unoと互換性があります(ただし、6本のPWMではなく4本のPWMのみ)。
- 20本のデジタル入出力ピンを備え、そのうち4ピンがPWM出力をサポート
- 6本のアナログ入力
- 1つのUART(RX/TXのみ)
- 1つのI2C
- 1つの6ピンICSPヘッダー(SPI)
- Micro USBデバイス・コネクターまたは(メカニカル・スイッチを経由した)標準サイズのUSBホストType-Aコネクター
- Micro USBデバイス(UARTに接続済み)
- SDカード・コネクター
- DC電源ジャック(7から15 Vの直流入力)
Intel Edison Breakout Boardの主な仕様
Intel Edisonモジュールよりもわずかに大きい、Intel Edison Breakout Boardは最小セットの機能を提供します。
- Edisonモジュールによるネイティブの1.8V I/Oをそのまま引き出す
- スルーホール・ソルダーの0.1 インチ・グリッド I/O アレイ
- USB OTGに対応したUSB Micro Type-ABコネクター
- USB OTG電源スイッチ
- バッテリー充電器
- USBからUARTデバイスへのブリッジを行うUSB micro Type-Bコネクター
- DC電源供給ジャック(7から15 Vの直流電源入力)
まとめ
ざっくりと仕様を紹介しましたが、いかがでしょうか?
おそらく多くの読者の皆様が興味あると思われる「このIntel Edison Moduleを使って超小型パソコンを作ることはできるのか?」ということについてですが…。これは残念ながらできません。というのも、Intel Edison ModuleのピンにPCI Expressの入出力がないためです。このため、パソコン(PC/AT互換機)として必要となる、ビデオ・カードやその他の要素の追加が行えません。そういった用途(汎用Windowsや汎用Linux、MS-DOSなど)向けではない設計なので仕方がないところだと思います。※1
SilvermontアーキテクチャのAtomを採用していることは従来から知られていましたが、同時に搭載されるマイクロコントローラーについては今回初めてIntel Quark系のコアであることが示されました。おそらくはLakemont Coreアーキテクチャそのままだろうとは思うのですが、どんなもんなのでしょうね。
また、以下の記事によると日本でも10月発売だとのことです:
個人的に扱えそうなのはやはりArduino互換ボードのやつかなぁ、とは思うのですが、それだとちょっと面白みに欠けるような気もして、悩ましいところです。
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情報および画像の出典
- PCI Expressは搭載するとそれだけで消費電力(と発熱)が大幅に上がってしまうので、今回の用途では省くしかないでしょう。