ファイナルファンタジーXI アルタナの神兵

はじめに

少し前になりますが 2007 年 11 月 22 日にスクウェア・エニックスがオンラインゲーム「ファイナルファンタジーXI(FFXI/FF11)」の新しい拡張データディスク「アルタナの神兵(英名 Wings of the Goddess)」を発売しました。今回はこの拡張データディスクについて書いてみたいと思います。

ディスクの容量

今回のディスクのメディアは DVD-ROM であり、その最大容量は 4GB を超えます。しかしながら、今回の拡張データディスクの容量は 350MB 程度であり、この容量であれば十分 CD-ROM であっても足ります。前回の「アトルガンの秘宝」が DVD-ROM で初めて拡張データディスクのメディアが DVD-ROM になったわけですが、今回は CD-ROM にしてもよかったのではないでしょうか。

というのも、初期の「ファイナルファンタジーXI」、拡張データディスク「ジラートの幻影」および「プロマシアの呪縛」は CD-ROM であり、当初からのユーザーは必ずしも DVD-ROM ドライブを使用していると断定することはできないからです。そして、今回の「アルタナの神兵」は「アトルガンの秘宝」を必要としないことから DVD-ROM ドライブを所持していない旧来のユーザーが新たに「アルタナの神兵」をプレイする可能性は皆無ではないのですから、それに配慮してもよかったのではないかな〜、などと考えてしまいました。

またまた繰り返してしまった失態

ファイナルファンタジーXIには悪しき恒例があります。それは「コンテンツの登録」に大混雑が発生して正常に登録できないというものです。それは最初のファイナルファンタジー XI からはじまり、前回の「アトルガンの秘宝」まで繰り返されました。そのことからスクウェア・エニックスも今回はそういった失態を繰り返すことはない、とインタビューで述べていました。例えば「ファイナルファンタジー XI 開発チーム特別インタビューGAME Watch)」にはこのように書かれています。

編: 「アトルガン」のときはユーザー登録のときに認証サーバーに繋がらないというトラブルがありました。今回はそれを繰り返さないためにどのような施策を行なっているのですか?
田中氏: 前回は本当にイレギュラーだったんですよ。長年問題が起こっていなかった部分で不思議なことになって、本来だったら流れるはずのものが流れなかったと。原因は明確に分かったんで、今回は通常の体制に戻して、トラブルが起こらないようにテストをしているので、大丈夫だと思います。
前回は負荷試験がちょっと甘かったという感じですね。自社の認証システム部分があって、社外システムによる認証先の相手があって、その間での不整合が発生していたと。それの反省もあって、この1年間ですべてシステムを自社製に切り替えたんです。だから、今回は大丈夫だと思ってます。実際にやってみないとこればっかりはわかりませんけどね。

このように万全に手を打ち、今回の「アルタナの神兵」が発売されたはずだったのですが…。なんと今回もトラブルを発生させてしまいました。全くもって改善されていない、というのがユーザー視点での率直な感想です。

発売当日の 22 日木曜日の朝からはじまったコンテンツ登録が行いにくい(ほとんど行うことができない)状態の解消は結局連休の終了する 26 日午前 3 時に掲載された「登録情報管理サーバー アクセス集中緩和のお知らせ(11/26)」まで続くことになりました。

それまでに掲載されたお知らせを以下に列挙します。

私もこのコンテンツ登録に苦労した1ユーザーであり、私がリトライを繰り返して(このリトライを繰り返す行為を同社のシステム「プレイオンライン」になぞらえて「リトライオンライン」と呼ぶ)登録できたのは発売日翌日の金曜日の朝でした。まさか買ってきたゲームを1日プレイできないなどとは思っても見ませんでしたので、本当に裏切られた気持ちでいっぱいです。

今回の失態は、ゲームそのものと同様にテスト不足から生じていると断言しても過言ではないでしょう(ファイナルファンタジー XI は大規模アップデート直後にテストしていれば100%発覚するような再現性のある不具合を残すことが多々あるのです)。出荷しているゲームパッケージの本数は自社で決定しているものであり、上記のインタビューでは全てサーバーのソフトウェアを含めて自社開発にしたとしています。であるなら、その出荷した本数のコンテンツ登録を同社のサーバーがきちんと処理しきれないのは完全に同社自身の責任に帰するものです。

次があるかどうか分かりませんが、もし別作品であったとしても今回のような失態を繰り返すことのないようにしていただきたいと願います。また、こういった登録方法が実現不可能であるという結論に帰着するのであれば、一定期間の登録期間を設け、その後に一斉スタートするなどの別の手法を採用すべきでしょう。

新しき舞台、それは「過去」

「リトライオンライン」を乗り越えて降り立った世界の先にあったのは、突如既存エリアに出現した「禁断の口」。これによって飛ばされた世界は「過去」でした。私達がそれまで知っていた世界と似ているけれども違う、そんな世界が広がっていました。敵は現代よりも強めで見たことの無い敵や、地形が微妙に違っていたり、人がいることによって整備されていたりすることがあります。そして旧各国へ行くにはそれまで存在しなかったエリアを経由する新しいルートを経る必要があります。このルートにも、現時点での最高レベル75でも1人では簡単に倒せない敵が配置されており、なかなかスリリングな道のりとなっています。

またこの新エリアの地図は、あらかじめそれ以前のエリアでクエストをすることで入手することができ、ユーザーを突き放すような構成にはなっていないのは「アトルガンの秘宝」譲りかもしれません(「ジラートの幻影」や「プロマシアの呪縛」の頃は地図が無いところを歩き回ってから地図を入手するという手法が多かったのです)。

そして各国の獣人対抗勢力に加入し、「カンパニエ」と呼ばれる獣人と人類の戦争に参加していくことになります。それと平行して、この世界の物語(ミッション)が展開していくことになるようです。

私も各国をわたり、サンドリアでカンパニエ勢力に入団し、そしてウィンダスへ(気付くと)移籍して、現在に至っています。これから繰り広げられる物語を楽しみにしつつ、カンパニエ ops(カンパニエの一部として発生する任務)に参加したり新しい敵との戦いをしたりしていきたいとおもいます。

今回の拡張データディスクで追加されたエリアのいくつかの場所ではレベル上げもできそうな感じです。今はまだ「拡張された未知の新エリア」である世界が、いつか冒険者の身近な世界に変化していくことでしょう。これからの流れを楽しみにしていきたいと思います。

まとめ

今回導入された拡張データディスク「アルタナの神兵」は、まだ序盤しか明らかにされていません。カンパニエマップに表示される北方の地へはまだ行くことはできませんし、物語(ミッション)も3話しか実装されていません。コンテンツの登録関連では大変残念な思いをさせられましたが、新しい世界はやはり新鮮な冒険をするという感覚を再確認させてくれました。今後の展開を楽しみにしていきたいと思います。

なお、データの容量についても触れましたが、従来よりも小さいから小粒の拡張であるとは必ずしも言えないと私は考えています。今回は過去が題材であり、多くのデータ(敵やマップのテクスチャなどの大きなデータ)は現代と共有可能であろうということは明らかであろうと思います。物語はデータ量とは必ずしも比例しないであろうと考えていますが、皆様がいかが思いますでしょうか?

おまけ:モグハウス・レンタルハウスの確認が無くなった理由

今回の「アルタナの神兵」の導入を前提とした 2007 年 11 月 20 日のバージョンアップにおいて、長年必要とされてきた「モグハウスおよびレンタルハウスの移転手続き」が不要になりました。これについて私の考察を書いておきたいと思います。

この点に注目している人は余りいないようなのですが、これはおそらく「アルタナの神兵」の導入に伴うものです。というのも、モグハウスおよびレンタルハウスの手続きを行う NPC は現在設定されているエリア名を台詞で言います。しかし、これを過去世界についても同様に適用したらどうなるでしょうか? NPC が過去と未来を知っていることになってしまいます。それではストーリーが破綻してしまいます。

そこで、今回長年こだわってきた「モグハウスおよびレンタルハウスの確認」制度を廃止したのではないかと考えるわけです。単なる推測ですが…。

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