はじめに
2015年5月7日付け(現地時間、日本時間では5月8日午前中頃)で、Intel Edisonのファームウェア「Release 2.1(ww18-15)」が公開されました。このバージョンには「ベータ」の表記がないため、ようやく正式リリースされたRelease 2系ということになります。
簡単にそのことについて紹介したいと思います。
概要
今回のファームウェアでの主な変更点は以下の通りです:
- MCU(Micro Control Unit)のサポートの追加
- オーディオ・サポートの強化
- 「Flash Tool Lite」の追加
- 複数の既知の課題の修正
- セキュリティー問題の修正
オンボードMCU
Intel Edisonに搭載されているオンボードMCUがサポートされるようになりました。OSはViper RTOSで、Linuxアプリケーションにはサービスとしてふるまいます。Intel EdisonのSDKからは、I2CとすべてのGPIOデバイスにアクセスすることができます。センサーからのデータをMCUでフィルターし、そのうえでさらなる分析のためにCPUを目覚めさせるといったようなことができます。
このIntel EdisonでMCUと呼んでいるものは、コードネーム「Merrifield」で言うところの「Low Power IO Controller」のことのようです。今回のリリースでは、MCUと呼ばれており、一言もQuarkと呼ばれていないのが個人的には少し気になる点です。
「Quark」とは呼ばれない代わりに「Minute Intel® architecture CPU」とされています。そして、このCPUは以下のように説明されています:
The Minute Intel architecture is based on the 486 with Pentium IA ISA compatibility added.
(さかきけい意訳:Minute Intel architectureは486をベースにPentium IA ISAとの互換性を追加したものです。)
Creating applications with the MCU SDK for the Intel® Edison board | Intel® Developer Zoneより引用
まさにコードネームLakemont Coreの特徴通りではあるのですが…。
Flash Tool Lite
Intel Edisonへファームウェアを書き込むためのGUIベースのツールがFlash Tool Lite(FTL)です。Release 2系統ではRelease 1系統とは異なるパーティション構造であり、フラッシュへの直接書き込みが必要となることから本ツールを公開することになったのではないかと思われます(従来はWindowsにおいてはIntel製ではないソフトウェアが必要でした)。
FTLについてはこちらのページにインストールから使用方法までの説明があります。
オーディオ・サポートの強化
Release 2ではBluetooth のA2DPサポートとともに、ある程度のオーディオ・サポートが追加されていましたが、今回はその拡張が行われ、I2SのPCMでオーディオDSPが使用できるようになりました。
また、SSP1ポートを使用したBluetoothでHAP(Handset Audio Profile)をサポートします。SSP2ポートはIntel Edisonでは未使用であり、ユーザーがカスタマイズ使用することができます。
まとめ
このように、ようやくRelease 2系のベータが取れた正式版Release 2.1のファームウェアが公開されました。当初の予定から約半年遅れで内蔵するMCUまで使用できるようになり、これからがIntel Edisonのフルパワーを発揮する段階であろうと思われます。