はじめに
日本時間7月1日の朝8時ころに「Intel® Galileo Gen2 Product Brief」が公開されました。この内容の紹介と既存のインテル Galileo 開発ボードの差異について解説してみたいと思います。
なお、Intelの該当ドキュメントのライセンスは「Creative Commons Attribution Share-Alike License (ver. 3)」ということで著作権法上の問題がないため、例によって私(さかきけい)による日本語意訳を全文掲載します。※1
免責の表明
この日本語資料はIntelが公開している「Intel® Galileo Gen2 Product Brief / Document: 330736-001」に記載されている情報を元に、“さかきけい”が作成したものです。このためIntelには何らこの日本語資料に対する責任はありませんので、この日本語資料に関連する問い合わせをIntelに対して行うことを禁止します。
また、この日本語資料を作成した“さかきけい”も何ら責任を負いません。この日本語資料の内容は、利用者自身の責任においてのみ使用することができます。
使用上の注意
- Intelによる法的な意味合いを持つと考えられる記述は英文のままとしています。これは、日本語にすることで意味合いが変化することを防ぐ目的のものです。しかし、その部分は英語原文に付属する部分であることを前提としなければなりません。したがって、本日本語資料ではなく、文脈としては原書に付属することになります。本日本語資料においては、Intelが免責を宣言する部分はその通りですが、何らかの権利や許可を与える部分についてはすべて無効であるとご理解ください。※2
- USB key、USB stickなどの表現揺れはすべて「USBメモリー」に統一して日本語資料化しています。※3
- SD card、microSDなどの表現揺れはすべて「microSDメモリーカード」に統一して日本語資料化しています(SDアソシエーションのページ内表記に合わせています)。※4
- 複数の英単語によって構成される語は、単語間に「・」を入れて表現しています。例:ルート・ファイル・システム※5
- 日本語での記述におかしいと思われる個所がある場合には原書をあたってください。
- 技術的などの理由で記載内容にわからない事項がある場合には別途調べてください(“さかきけい”に質問のメールを送るのはご遠慮ください)。
- 明らかな誤訳がある場合には具体的なご指摘をメールでお知らせいただけると助かります。
- 記述内容に誤りがある場合にもお知らせいただけると嬉しく思います。ただし、原書も間違っている場合には特に日本語資料を修正することはせずに、訳注を追加するだけとするかもしれません。
- 前述の内容と被りますが、“さかきけい”は何ら責任や義務を負うものではありません。
Product Brief
Intel® Galileo Gen 2
Development Board
第2世代のIntel® Galileoボードはメーカー・コミュニティー、学生、およびプロの開発者にプログラム制御が可能なプリント基板を提供します。Intel® Galileoボード(Gen 2)は、Intel® Quark™ SoC X1000に基づく32ビットPentium®プロセッサー・クラスのSystem On a Chip(SoC)により、Intel純正プロセッサーと周辺機器に固有の入出力機能を完全に集積した環境をさまざまなアプリケーションに提供します。
また、Intel® Atom™プロセッサーおよびIntel® Core™プロセッサーをベースとするデザインと比較して、ボードはより簡単で、より対費用効果に優れた開発環境を提供します。
第2世代製品の強化ポイント
Intel® Galileoボード(Gen 2)は、以下の領域において改良された特徴と機能を提供します:
- より速い速度と改良されたドライブ能力を備えた、完全にシステム・ネイティブの12本のGPIO
- サーボに対する、より正確なコントロールとより滑らかな応答のための12ビットPWM
- 12ボルトのPoE(Power-over-Ethernet)に対応
- 電源電圧として7ボルトから15ボルトをサポート
- FTDI USBコンバーターと互換性を備えた、シリアル・コンソール用UARTピン・ヘッダー
- スケッチはソフト・シリアルの必要性を排除し、スケッチによってコンソールUART1をArduino*ヘッダーへリダイレクトすることが可能
Arduino Uno R3*との互換性
ボードとそれの上に展開するアプリケーションの親和性を高めるために、Intel® Galileoボード(Gen 2)はArduino 1.0ピンアウトと一致します。そして、Arduinoソフトウェア開発環境(Arduino Software Development Environment)とソフトウェア互換性を備えます。
オープン・ソース・ハードウェア
Intel® Galileoボード(Gen 2)はオープン・ソースのハードウェア・デザインです。結線図、Cadence Allegroボード・ファイルおよび部品表(BOM)を自由にダウンロードして使用することができます。
さらなる拡張性
Arduinoとのハードウェアおよびソフトウェアの互換性に加え、Intel® Galileoボード(Gen 2)は以下の業界標準I/Oポートの特徴を備えます:
- フルサイズのPCI Express* Mini Card(Mini PCI Express)スロット
- PoEをサポートする10/100 Mbps Ethernet* RJ45ポート
- microSDスロット
- TTLレベルのUART 6ピン・ヘッダー
- USB 2.0ホスト・ポート
- USB 2.0クライアント・ポート
ターゲットとなるソフトウェア
Arduinoソフトウェア開発環境(Arduino Software Development Environment)を使用し、「スケッチ」と呼ばれるGalileoのためのプログラムを作成します。そして、そのスケッチをボードで実行するための手順は以下のとおりです:
- 電源を接続します。
- ボードのUSBクライアントポートにコンピューターを接続します。
- IDEインターフェースを使用してスケッチをアップロードします。
スケッチはIntel® Galileoボードで実行され、Arduino I/Oアダプター(Arduino I/O Adapter)を経由してボードのファームウェアのLinux* Kernelとコミュニケーションします。ボードをプログラムすることに対する、完全な方法については、Intel® Galileo Getting Start Guideを参照ください。
仕様 | |
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物理サイズ | 123.8 mm (L) × 72.0 mm (W) このほかにUSBコネクター、RJ45(Ethernet)ジャック、および電源ジャックを接続するための空間が必要です。 |
固定方法 | 4ミリメートル(直径)の4つのネジ穴 Arduino互換のヘッダーとして以下のものを含む:
|
コネクター | 6ピンのコンソール用UART(FTDI USBコンバーターと互換性を備える) 6ピンのICSP 10ピンのJTAGデバッグ用ポート PoE(Power over Ethernet)をサポートするRJ45 Ethernetコネクター USB 2.0 ホスト(Standard Type-A) USB 2.0 クライアント(Micro USB Type-B) PCI Express* Mini Card(Mini PCI Express* 1x)スロット |
電源 | 広範囲の電圧(7ボルト~15ボルト)に対応するジャック PoE(Power over Ethernet)をサポート(PoE対応モジュールが必要) RTCの電源用ヘッダー |
ボタン | スケッチおよび装着した10/100 Mbpsイーサーネット・シールド用のリセット・ボタン Intel® Quark™ SoC X1000をリセットしてリブートするためのボタン |
通信 | |
ポート | USB 2.0 ホスト・ポート (Standard Type-A) USB 2.0 クライアント・ポート (Micro USB Type-B) TTL UART 6ピン・ヘッダー (FTDIコンバーターとの互換性を備える) USB 2.0 ホストをサポートするPCI Express* Mini Card(Mini-PCI Express* / mPCIe*)スロット |
プロセッサーの特徴 | |
モデル | Intel® Quark™ SoC X1000 |
速度 | 400 MHz |
コア/スレッド | 1/1 |
命令セット・アーキテクチャ(ISA) | 32-bit Intel® Pentium® プロセッサー互換 ISA |
1次キャッシュ | 16 KB |
SRAM | オンダイ統合された512 KB |
パッケージ | 15 mm × 15 mm BGA ACPI互換のCPUスリープ・ステート |
その他 | 統合されたリアル・タイム・クロック(RTC) オプションの3Vコイン電池を追加することで電源のオン/オフを超えて動作 |
ストレージ | |
ファームウェア/ブート・ローダー | 8 MB NOR Flash |
SRAM | 512 KB (組み込み) |
DRAM | 256 MB DDR3 |
Micro SDメモリーカード | 最大32GB |
USB | 一般的なUSB 2.0ストレージ・デバイス(USBドライブ、USBメモリーなど)と互換性を備える |
EEPROM | 8 KB (EEPROMライブラリーを経由してプログラム可能) |
Intel® Galileoデザイン・ドキュメント
(さかきけい訳注:以下、この部分は法的宣言のため原文ママとします)
This Intel® Galileo design document is licensed by Intel under the terms of the Creative Commons Attribution Share-Alike License (ver. 3), subject to the following terms and conditions. The Intel® Galileo design document IS PROVIDED "AS IS" AND "WITH ALL FAULTS." Intel DISCLAIMS ALL OTHER WARRANTIES, EXPRESS OR IMPLIED REGARDING THE GALILEO DESIGN OR THIS GALILEO DESIGN DOCUMENT INCLUDING, BUT NOT LIMITED TO, ANY IMPLIED WARRANTIES OF MERCHANTABILITY OR FITNESS FOR A PARTICULAR PURPOSE.
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第1世代Intel® Galileoと第2世代Intel® Galileoボードの差異
(前述と被りますが)大きなところでは、現行の第1世代Intel® Galileoボード(プロダクト・コードGalileo1)と比較して、第2世代Intel® Galileoボード(プロダクト・コードGalileo2)には以下のような差異があります:
- サポートする電源電圧が7ボルト~15ボルトに拡大することにより、他のArduino向けACアダプターや電源ユニットの流用の可能性が開けた。
- 従来と比較してGPIOの速度向上
- ソースおよびシンク電流の向上による接続性および互換性の向上
- PWMの精度向上
- 12ボルトのPoE(Ethernetケーブル経由での給電)をサポート(PoEモジュールが必要)
- コンソール用シリアル・ポートを従来よりも一般に広く使われているFTDI USBコンバーターと互換性のあるピン・ヘッダー型のものに変更。これにより従来は不可能であった、ハードウェア・フロー制御が可能となる。
- コンソールUARTのスケッチによるリダイレクト制御の追加
まとめ
5月27日に書いたレポート“次期Intel® Galileoボード(Intel® Galileo Gen2)の情報 – まとめ”で書いたことの一部が今回の発表で裏付けられました。細かいチップの情報などは出てきていませんが、この情報と今回の情報をまとめることで、ほぼIntel® Galileoボード(Gen 2)の実態が明らかになったのではないかと思います(ただし、「コイン電池用ソケットの搭載」は残念ながら大型コンデンサーの誤認でした)。
なお、今回の情報はあまり時間が取れなかった関係でかなり大雑把です。興味がありましたら発表資料を直接参照されることをお勧めします。
たぶん、原文公開から24時間以内に掲載できている…はずです。がんばりましたー。ばったり。おやすみなさい。
2014年7月2日追記
表の後半が意図せず欠けているので後ほど補います。
→補いました。
- 本稿記載の該当する部分は同様のライセンスで使用可能です。私の著作権表記は「Copyright© 2014 KEI SAKAKI.」としてください。またIntelの著作権表記を削除することはできません(詳しくはクリエイティブ・コモンズの解説をご参照ください)。なお、いかなる責任も「さかきけい」は負わないことを条件とする旨の記載が必須です。
- 有効にしたい場合は原書をご確認ください。
- インテル株式会社による表現が「Memory」に対して「メモリー」となっていることに倣っています。
- SDアソシエーションがSDメモリーカード関連の商標を管理する主体であることを考慮に入れ、同団体の表現をそのまま使用しています。
- インテル株式会社による表現がそうなっているので、それに合わせています。ただし、前述の「microSDメモリーカード」に限り、この原則に従いません。