MMORPG の FFXI に規約違反対策のための特別チーム

はじめに

スクウェア・エニックスが運営するオンラインゲーム FINAL FANTASY XI (以下、 FFXI )に「スペシャルタスクチームからのお知らせ (2006/11/06)」というお知らせが掲載されました。このお知らせについて私見を書きたいと思います。

お知らせの概要

オンラインゲームではさまざまな問題が発生します。これについては先日のコラムで書いた通りです。このうち、対処が難しいのが現実の通貨でゲーム内の仮想通貨やアイテムを取引する RMT ( Real Money Trade : リアルマネートレード)と不正なツール(不正プログラムあるいはチートツールなどとも言う)の使用です。 RMT については許容しているオンラインゲームもありますが、多くのゲームでは会員規約やそれに類似するルールで禁止されています。また、不正なツールによってゲームで「ずる」をする行為については、ほぼ全てのオンラインゲームで禁止されています(というより、私は許容している例を知りません)。

今回のお知らせは、 FFXI で発生している様々な問題に対応するために「スペシャルタスクチーム(英語のお知らせでは Special Task Force となっています)」を発足させ、特に上記2つの問題に対して活動を行い、一定の成果を収めているという告知をするものです。

RMT に対する対策

ゲームの物価推移に大きな影響を与える RMT に対する対策として、国内の約 100 、欧米の約 50 のサイトを把握して調査を開始しているとのことで、その中でも特に取引の活発なサイトに対して重点的に調査を行うとしています。

この調査と対応による実績として、「約1ヶ月間に、複数のRMTサイトに対して新手法による調査を行い、RMTに関与していたことが確認された約100のアカウントの強制退会処分、ならびに数百億ギルの凍結を完了」し、この結果「RMTサイトのうち、いくつかに関してはサイトの閉鎖やファイナルファンタジーXIに関するRMTの取り扱い停止等を確認」と大きな成果を上げているようです。

ここで言う「新手法による調査」とは、おそらくはスクウェア・エニックスが RMT サイトでギル( FFXI における通貨の単位です)の購入を申し込み、ギルを渡すために現れたキャラクタに該当するアカウントと、ログの解析から、そのアカウントと特別な関係が断定できるアカウントを強制退会処分にしたということでしょう。従来のゲーム上でのログ確認だけでは、ギルの移動が RMT によるものなのか、単純にゲーム内取引の一環として行われているのか判別することは困難でしたが、この手法であれば確実に判別することができます。

この手法は RMT 業者にとって一番堪える手法でしょう。何しろ、 RMT 業者には申し込んできた客が、本当に客なのか、あるいはスペシャルタスクチームなのか判定する方法が何1つないのですから。この手法による摘発を気長に続けていくことで、スクウェア・エニックスは100%とは行かないまでも、かなり多くの RMT 業者を廃業に追い込むことができるのではないかと私は期待しています。

なお、この凍結された数百億ギルという仮想通貨の量は、 FFXI の経済にも多大な影響を与える量であり、現在 FFXI ではデフレが進行しています。今までインフレに喘いでいたユーザーもいきなりのデフレに困惑しているようですが、いずれ落ち着くべきポイントに落ち着くのではないかと思います。

RMT がゲームに与える悪影響

なぜスクウェア・エニックスは RMT 業者の摘発に乗り出したのでしょうか。規約違反だからでしょうか。もちろん、それもあるでしょう。しかし、一番の理由はゲームバランスに悪影響を及ぼすからです。 RMT 業者も RMT 顧客も RMT の正当性を主張しますが、実際のところゲームに悪影響を与える点を完全に無視した主張であり、一般ユーザーである私には到底受け入れることができない主張です。

例えば、 RMT という行為がはびこることにより人気アイテムの価格が異常に高騰するという現象が発生します。これは普通にプレイしていれば手に入れることが困難な量のギルを得ることができるため、そのギルに物を言わせて買いあさるということによって起こります。こうなると、 RMT をしない人は購入できないところまで価格が行ってしまうことになり、ゲームバランスを大きく損ねることになります。

また RMT で売るためのギルを得るための各種行為が問題になってきます。例えば不正ツールの使用により「ずる」をしたり、人件費の安い国の人員を動員して、ゲーム内出稼ぎを行わせたりの問題です。前者の問題は後述します。後者は、「ギルになるモンスターをひたすら狩る」、「一般プレイヤーが該当するモンスターを狩りにくるとありとあらゆる妨害工作を行う」、「新しいアイテムを作る合成という手段を24時間続けてひたすら薄利多売を続け、他の一般ユーザーのキャラクタが市場に介在できない状態を作り出す」などなど。多岐にわたる問題が発生しています。

こういった諸問題の解決のためには、元となる RMT 業者を追い込み、 RMT 顧客に対しても警告を発したり一時利用停止などのペナルティを科し、規約違反を継続的に排除していくということが必要となるでしょう。

不正ツールに対策

FFXI では様々な不正ツールが存在しています。古くは寝釣りツールと呼ばれる、自動でゲーム内において「(魚等を)釣り続ける」ツールや、キャラクタの移動速度を変更したり、あるいはワープさせたりするツールがよく知られています。また、特定のモンスターを自動的に攻撃する( FFXI では最初にモンスターに対して敵対行動を取ったユーザーにモンスターの占有権が与えられます)ツールもあり、ギルになるモンスターが独占されるといった問題を生み出しています。このようなツールを使用されると、通常通りのプレイを行っているユーザーにはどうしようもないという状況になってしまい、ゲームそのものが大きく害される結果となります。

このように直接ゲームに干渉するツールについて、特に移動に関するツールはここ数ヶ月にわたり継続的に排除を行った旨のお知らせが掲載されています(私の持っている LS のメンバーにツーラー(ツールを使う人をツーラーという)がいることがわかり、嫌な思いをしていたのですが、そのユーザーもその月の後半に行われた処分で排除され、現在では見かけなくなりました)。その他のツールについてはお知らせに掲載されることが少ないため、どのような状況なのかは不明です。スクウェア・エニックスは、ゲームのルールを変更することで、いくつかの問題に対応しようとしたこともありますが、抜本的な解決には至っていません。

今後スペシャルタスクチームが不正ツールに対しても監視の目を光らせ、 RMT や他ユーザーのプレイに影響を与えるものを優先して対策に力を入れていくとしており、期待して見守っていきたいと思います。

ただ、残念なことに、ゲーム操作に影響を与えない、特殊なステータス表示ツールなどはこの方法では対策できません(通常は表示されないアライアンスの MP や、他人の TP を表示するなどのツール)。なぜなら、そのようなツールを使用しているか否かをログからは判別できないからです。今後もクライアント側のソフトウェアの改良を行い、各種ツールに対策していくものと期待しています。

まとめ

ゲームが楽しむためのゲームであるためには、参加者それぞれ規約を守ってプレイする必要があることはいうまでもありません。ゲームシステムによって縛りきれない点があるからといって、規約を無視して自分勝手にプレイしてはいけません。それがオンラインゲームというものです。スポーツにルールがあったり、現実に法律があるように、オンラインゲームには規約があるのです。しかし残念ながら、全てのユーザーがそのように行動するわけではありません。そこで GM や今回のスペシャルタスクチームのようないわば「仮想世界」の「仮想公務員」の活動が必要となるわけです。

今回、スクウェア・エニックスが設置したスペシャルタスクチームが導入した新手法はおそらく上記で私が想像した通りのものなのではないでしょうか。現実世界に対する対策をスクウェア・エニックスができない以上、今回の手法が最終手段であるといえるでしょう。そしてこの最終手段は RMT 業者にとって最悪の手段でもあると思います。また業者の特定により、 RMT 顧客に対してもペナルティを課すことができるようになった点が大きいでしょう。 RMT に対する抑止力として働くことを期待できます。

現状ゲーム内のあちこちで散見される RMT 業者と思われる集団が完全に排除されるその日まで、スクウェア・エニックスには対策に力を入れていただくことを期待したいと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です