はじめに
現行の「Intel Galileo(プロダクト・コード:Galileo1)」の後継製品である「Intel Galileo Gen2(プロダクト・コード:Galileo2)」の情報について、先週末にいろいろと書きましたが、現時点で判明していることをまとめてみたいと思います。
2014年8月6日追記
「Intel Galileo Gen 2の予想仕様の答え合わせ」で、本ページにおける予想が正しかったのかどうかについて「答え合わせ」をしています。併せてご覧いただければと思います。
Intel Galileo Gen2の情報ソース
最初のニュースは2014年4月15日の「Intel、次期Quark開発ボード「Galileo2」を6月27日に発表か – PC Watch」による、「Product Change Notification 112859 – 00(PDF)」でGalileo2への切り替えが告知されているとのものでした(その時のメモ:インテル Galileo 開発ボードの製造終了と後継製品への置き換え)。
続いて情報を得たのは2014年5月22日にIntel Corporationが「Intel Quark BSP Release 1.0.1」をリリースした際の「Intel® Quark™ SoC X1000 Software / Package Version: 1.0.1 / Release Notes / 22 May 2014 / Order Number: 330232-002US(英語:PDF)」からでした。この中で「Intel Galileo Gen2」という名称について言及があり、いくつかの仕様情報を得ました(その時のメモ:次期Intel Galileoボード(Intel Galileo Gen2)の情報)。
名称が判明したのでWebページを検索し、それによって行きついたのが「Maker Con Day 2 – AM Sessions – Rock N Roll Science」でした。ここではいくつか仕様についての言及がありました(その時のメモ:次期Intel Galileoボード(Intel Galileo Gen2)の情報(2))。
さらにTwitterの検索をしていてGuido Burgerさんのツイートに写真(正確にはスライド発表の写真)が掲載されていることに気付き、これによって新たに仕様変更がいくつか明らかになり、またいくつかの新仕様の確認ができました(その時のメモ:次期Intel Galileoボード(Intel Galileo Gen2)の情報(3))。
Intel Galileoの新旧仕様比較
これらの得られた情報を表にまとめてみます:
Intel Galileoにおける仕様 | Intel Galileo Gen2における仕様 | 情報ソース | 補記 | |||
---|---|---|---|---|---|---|
blog | Tweet | BSP | ||||
イーサーネット・ポート | 10/100イーサーネット・コネクター | ← | - | ○ | ○ | |
RS-232シリアル・ポート | 3ピン 3.5ミリメートル・ジャック | 一般的な標準コネクターを採用(D-Sub 9ピンのことか?) | ○ | - | - | 状況不明 |
USB 2.0クライアント | USBクライアント・コネクター(Micro-USB Type B) | ← | - | ○ | - | |
USB 2.0ホスト | USB 2.0ホスト・コネクター(Micro-USB Type AB) | USB 2.0ホスト・コネクター(Standard-USB Type A) | - | ○ | - | |
SPI Flash | ファームウェア(またはブートローダー)と最新のスケッチを保存するための8メガバイトのレガシーSPI Flash | ← | - | ○ | ○ | |
SPI Flash書き込みポート | Serial Peripheral Interface(SPI)書き込みのための7ピンのヘッダー | ← | - | ○ | - | |
シールド・インターフェイス | Arduino Uno Revision 3用シールドのピンアウトに従う | ← | - | ○ | - | |
ADC | Analog Devices AD7298 | Texas Instruments ADC128S102 | - | - | ○ | 筆者推定(詳細後述) |
CPU/SoC | Intel Quark SoC X1000 | ← | - | ○ | ○ | |
ICSP | 6ピン in-circuit serial programming(ICSP)ヘッダー | ← | - | ○ | - | |
メモリー | DDR3 DRAM 256MB | ← | - | - | - | |
Arduinoインターフェイス | Arduino Uno Revision 3用シールドのピンアウトに従う | ← | - | ○ | - | |
JTAGデバッグ・ポート | デバッグを行うための10ピン標準JTAGヘッダー | ← | - | ○ | - | |
GPIOエクスパンダー | Cypress Semiconductor CY8C9540A-24PVXI | NXP Semiconductors PCAL9555A NXP Semiconductors PCA9685 |
- | - | ○ | 詳細後述 |
microSDスロット | 32ギガバイトまでのmicroSDメモリーカード(オプション)をサポート | ← | - | ○ | ○ | |
5V電源 | ボード上の電源ジャックに2.1ミリメートル正電源(センター・プラス)のプラグを接続することで、交流を直流にするアダプターを経由してボードに電力を供給 | ← | - | ○ | - | ブログにPoEとの記載あり(詳細後述) |
PCI Express Mini Card (Mini PCI Express) |
Galileoボードの裏側にフル・サイズのMini Cardスロットを搭載 | ← | - | - | - | |
RTC用電源 | 2ピンの接点 | ボタン電池ソケットの搭載 | - | ○ | - |
このように、基本となるCPU/SoCのIntel Quark SoC X1000はそのままで、それ以外の部分に変更が加わっている感じとなっています。また、基本的に後方互換性を維持するように変更されていると考えられ、Intel Galileoで動作していたシールドはIntel Galileo Gen2でも動作することが期待できそうです。
個別の要素のうち、いくつかについては筆者推定ですので、そのあたりについて説明したいと思います。
ADC
アナログ・デジタル・コンバーターは、Intel Quark BSPのソースコードから使用しているチップのメーカーと型番を得ました。ドライバーはTexas Instruments製の2種類のチップをサポートしています。搭載していると推定して表にも書いたADC128S102と、書かなかったADC108S102です。この2チップの差は12ビット対応か10ビット対応かという部分です。
既存のIntel GalileoはAnalog DevicesのADC7298を搭載しており、これが12ビット対応です。これを10ビットのものに変更するとソフトウェアおよびハードウェア(シールド)の互換性の一部が失われることになります。このようなことから、互換性を維持するためにも12ビットを採用するであろうと判断し、12ビット対応のADC128S102を採用すると推定しました。
GPIOエクスパンダー
現行のIntel GalileoはCypress SemiconductorのCY8C9520A-24PVXIを採用していますが、これがNXP SemiconductorsのGPIOエキスパンダーのメイン担当PCAL9555AとPWMのメイン担当PCA9685に置き換えられます。もう少し正確を期すなら、前者は確定ですが、後者はたぶん採用というレベルです。
PCAL9555Aを採用しているというのは、前述のIntel Quark BSPのリリース・ノートで言及されています。このためこのチップの採用は確定しています。一方で後者のPCA9685は、Intel Quark BSPのソース・コードの記述を元に採用を推定しました。
5V電源
「PoE board」という記述がブログにあったのですが、写真を見る限りなんともいえなかったので今回は考慮の対象外とし、5V電源のみを記載しています。
RS-232シリアル・ポート
ブログの方には「standard serial connector」と記載があるのですが、写真のほうではそれらしいもの、というよりも、どれがシリアル・コネクターなのか判然としなかったため、ブログの方からの情報のみとし、補記欄には「状況不明」と記載しました。
RTC用電源
写真を見る限り、RTC用のボタン電池ソケットが追加されたよう(?)に見えるので、その点を記述しています。
その他の仕様について
明確に仕様が変更となることがわかったものを除いて、すべて「従来の仕様を踏襲する」として記載しました。
現時点での改良の感想
基本的には、パワー・アップというよりも既存のGalileoの弱点を修正してきた感じを受けます。
既存のIntel Galileoにおいて、多くの人に改善が望まれていると思われるGPIO関連の刷新がもっとも大きな改善点となるようです。従来はI²Cの100kHzによる伝送速度でGPIOエクスパンダーにデータが伝えられていましたが、新チップでは400kHzでの伝送が可能になるようですので、4倍近い速度アップになるのではないかと思われます。もっとも、それはそれで「速い?」と問われると微妙なところもありますが、それは少ない本数にはなりますがMUXを切り替えて、そちらで対応することになるでしょう。
そのままでは使いづらかったMicro-USB Type ABによるUSB 2.0ホスト・コネクターの標準コネクター化も地味によい改良だと思います。
まとめ
とりあえず現状で判明している情報をまとめてみました。今後も新たな情報が出てきましたら継続してレポートする予定です。
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