はじめに
日本時間で7月16日の日付が変わったころに、IntelがIntel Galileo Gen 2※1の結線図を公開※2したので、先日「次期Intel Galileoボード(Intel Galileo Gen2)の情報 – まとめ」で予想した、現行のIntel Galileo※3との仕様差についての答え合わせをしたいと思います。
関連記事
- Intel Galileo Gen 2は8月に発売予定
- Intel Galileo Gen 2のProduct Briefが1日で差し替えられた話
- IntelがIntel Galileoボード(Gen2)の概要情報を公表
- 次期Intel Galileoボード(Intel Galileo Gen2)の情報 – まとめ
採用部品
全ての部品について比較すると収拾がつかなくなりますので、ソフトウェアに影響のある範囲を中心に取り上げたいと思います。その他については、Intelが公開しているドキュメントをご参照ください。
Intel Galileo Board Fab-H構成図
Intel® Galileo Gen2 Schematicより引用
ADC
私の予想ではTexas Instruments製のADC128S102を採用するだろうとしていましたが、実際に採用されたのはADC108S102でした。
このため、Intel Galileo Gen 2のADCの分解能は現状の12ビットから10ビットへと低下することになりました。これはスケッチ※4やシールド※5にも若干の影響があります。
GPIOエキスパンダー
私の予想ではNXP SemiconductorsのPCAL9555AをGPIO エキスパンダーのメインに据え、PWMにPCA9685を採用するとしていました。
特に前者はリリース・ノートに記載があるために採用が確実で、後者はIntel Quark BSPのソース・コードを読む限り採用がなされる可能性が高いとしていましたが、結果は逆で、GPIO エキスパンダーにはPCAL9555Aは採用されずに同じNXP SemiconductorsのPCAL9535AHFが3つ採用され、PWMにはソース・コードから採用の可能性が高いと予想したPCA9685が採用されました。
EEPROM
スケッチで情報を記録するためにON SemiconductorのCAT24C08HU4Iが新たに採用されました。
DC電源
先日の情報をまとめた時点では情報がなく、変更がないのではないかとしてお伝えしていましたが、Intelが発表したIntel Galileo Gen 2のProduct Briefの日本語意訳でも取り上げたように、7ボルト~15ボルトの広範囲の電圧に対応するようになりました。
他のArduino向け電源を転用できる可能性が高くなる改良です。
ただし、今回公表された結線図では「EMSA050300X P5P-SZ(DC 5V 3AのAC-DCコンバーター)」を推奨すると書いてある※6ため、不整合が生じています。従来の結線図からの修正漏れかもしれません。おそらく電源ジャックは従来から変更がないのでしょう。
RS-232シリアル・ポート
これもProduct Briefの日本語意訳で取り上げましたが、ステレオ・ミニ・ジャック型の接続※7から、より一般的な6ピンのTTL-232R-3V3での接続※8に変更となりました。
RTC用電源
以前の「まとめ」で、やや不鮮明な写真の内容からコイン電池のホルダーがボード上に設けられたのではないかと指摘しましたが、Product Briefの日本語意訳の作成時に鮮明な写真を見て、コンデンサーを誤認していたものであることが判明しています。
Power over Ethernet
5月にIntel Galileo Gen 2の情報を逐次メモにした際に2番目に紹介したブログに「Power over Ethernet(PoE)」に対する言及があったのですが、3番目のメモで写真を紹介した際に、あるのかないのかわからないという形で判断を留保しました。
この機能がオプションとはいえ実際には搭載されており、事前の情報が正しかったことがProduct Briefの発表で明らかとなりました。
訂正版・Intel Galileoの新旧仕様比較
以上を踏まえて、「まとめ」に記載した一覧を最新の情報で更新してみました:
Intel Galileoにおける仕様 | Intel Galileo Gen2における仕様 | 補記 | |
---|---|---|---|
イーサーネット・ポート | 10/100イーサーネット・コネクター | ← | |
RS-232シリアル・ポート | 3ピン 3.5ミリメートル・ジャック | FTDIによるTTL-232R-3V3仕様に合致 | |
USB 2.0クライアント | USBクライアント・コネクター(Micro-USB Type B) | ← | |
USB 2.0ホスト | USB 2.0ホスト・コネクター(Micro-USB Type AB) | USB 2.0ホスト・コネクター(Standard-USB Type A) | |
SPI Flash | ファームウェア(またはブートローダー)と最新のスケッチを保存するための8メガバイトのレガシーSPI Flash | ← | |
SPI Flash書き込みポート | Serial Peripheral Interface(SPI)書き込みのための7ピンのヘッダー | ← | |
シールド・インターフェイス | Arduino Uno Revision 3用シールドのピンアウトに従う | ← | |
ADC | Analog Devices AD7298 | Texas Instruments ADC108S102 | ADC128S102と予想したが誤りだった。 |
CPU/SoC | Intel Quark SoC X1000 | ← | |
ICSP | 6ピン in-circuit serial programming(ICSP)ヘッダー | ← | |
メモリー | DDR3 DRAM 256MB | ← | |
Arduinoインターフェイス | Arduino Uno Revision 3用シールドのピンアウトに従う | ← | |
JTAGデバッグ・ポート | デバッグを行うための10ピン標準JTAGヘッダー | ← | |
GPIOエクスパンダー | Cypress Semiconductor CY8C9540A-24PVXI | NXP Semiconductors PCAL9535AHF×3 NXP Semiconductors PCA9685 |
リリース・ノートにPCAL9555Aと記載があったが、実際にはPCAL9535AHFだった。BSPのソース・コードから採用を予想したPCA9685は正しかった。 |
microSDスロット | 32ギガバイトまでのmicroSDメモリーカード(オプション)をサポート | ← | |
DC電源 | ボード上の電源ジャックに5ボルトの2.1ミリメートル正電源(センター・プラス)のプラグを接続することで、交流を直流にするアダプターを経由してボードに電力を供給 | 7ボルト~15ボルト | 現状はっきりしないが、おそらくジャックのサイズは変更がない。 |
Power over Ethernet | - | 12ボルトの給電を受ける。 | PoEモジュールが必要。 |
PCI Express Mini Card (Mini PCI Express) |
Galileoボードの裏側にフル・サイズのMini Cardスロットを搭載 | ← | |
RTC用電源 | 2ピンの接点 | ← | ボタン電池用のソケットを備えると予想したが誤りだった。 |
まとめ
これで、概ねIntel Galileo Gen 2がどのようなボードになるか、という情報が出そろったかと思います。あとは価格と日本での発売時期、そしてIntel Quark Board Support Package Release 1.0.2(Intel Quark BSP 1.0.2)の公開時期がどうなるのだろうか、といったでしょうか?
Intel Galileo Gen 2用のArduino IDEはIntel Quark BSP 1.0.2ベースのファームウェアを搭載しており、完成しているはずです。もしかするとドキュメントの整備中なのかもしれません。
(2014年7月17日 午後追記)Intel Quark BSP 1.0.2はいつもと違うところで公開されていました。後程フォロー記事を書きます(今日は予定があるので明日になるかもしれません)。ここのところ、ペースをつかみづらい日々が続いています…。
- プロダクト・コード:GALILEO2 / コード・ネーム:Kips Bay Fab H
- ライセンスはCreative Commons Attribution Share-Alike License (Ver.3)
- プロダクト・コード:GALILEO1 / コード・ネーム:Kips Bay Fab D
- Arduinoで動作するユーザー作成のソフトウェア
- Arduino向けに作成されたハードウェアのこと
- DOCUMENT NUMBER: H38681 / TITLE: GALILEO Gen 2 VOLTAGE REGULATORS / REV: 2.0 / SHEET 27 OF 28
- RS-232レベル、ハードウェア・フロー制御なし
- 3.3V TTLレベル、ハードウェア・フロー制御あり