はじめに
Intel Corporationが送り出したIntel Edison Compute Moduleと同時にリリースされた専用ボードのひとつに「Intel Edison Breakout Board」があります。これは同時にリリースされたArduino互換の「Intel Edison Board for Arduino」に対して、Intel Edisonネイティブの1.8 V信号レベルや各種信号をそのまま使用することを前提とした抽象度が低く、やや扱いの難度が高い代わりに、より細かい制御が可能で小さなボードに仕上がっています。このボードを使用するために必須のドキュメントが「Intel® Edison Breakout Board Hardware Guide / 331190-006」です。
このドキュメントにはIntel Edison Breakout Boardを扱うために必要な情報がいろいろと含まれているのですが、現時点では英語版しか存在していません。そこで、今回は私の視点、私の理解で読んだ内容を元に日本語で書き起こした同ドキュメントを「Intel® Edison Breakout Board / ハードウェア・ガイド」として公開してみることにします。
該当ドキュメントはダウンロード時に特にライセンスの確認がなく、該当ドキュメントの文頭にある宣言文を読む限り、Intelのライセンス上も問題がなさそうだと思われる(転載と翻訳を禁止するとの明示文がない)ため、参考にはなるかと思い公開するものです。
お願い
もしもIntelの関係者で、私がこの日本語ドキュメントを公開することが何らかのライセンスや法的問題があるとお考えであるならば、メールにてご連絡をいただければと思います。その際は、私がメールの送付主がIntel関係者であることを認識できるようにIntel社内からメールを送信し、所属・肩書き等を添えてください。
著作権等
英語版の資料をベースにしているこの日本語ドキュメントはIntelの著作権が及ぶ範囲内にあります。その上で、この日本語ドキュメントには“さかきけい”の著作権が発生しています。“さかきけい”はすべての著作権法上の権利を留保します(詳しくは「ご利用上の注意とお願い」を参照ください)。
免責の表明
この日本語ドキュメントはIntel Corporationが公開している「Intel® Edison Breakout Board Hardware Guide / 331190-006」に記載されている情報を元に、“さかきけい”の理解で作成したものです。このためIntel Corporationには何らこの日本語ドキュメントに対する責任はありませんので、この日本語ドキュメントに関連する問い合わせをIntelに対して行うことを禁止します。
また、この日本語ドキュメントを作成した“さかきけい”も何ら責任を負いません。この日本語ドキュメントの内容は、利用者自身の責任においてのみ使用することができます。
使用上の注意
- Intelによる法的な意味合いを持つと考えられる記述は英文のままとしています。これは、日本語にすることで意味合いが変化することを防ぐ目的のものです。しかし、その部分は英語原文に付属する部分であることを前提としなければなりません。したがって、本日本語ドキュメントではなく、文脈としては原書に付属することになります。本日本語ドキュメントにおいては、Intelが免責を宣言する部分はその通りですが、何らかの権利や許可を与える部分についてはすべて無効であるとご理解ください。※1
- 複数の英単語によって構成される語は、単語間に「・」を入れて表現しています。例:ルート・ファイル・システム※2
- 原則として単語末の長音記号「ー」は省略しない方針で編集しています。例:プロセッサー※3
- 気づいたTypoや編集ミスなどは明確であると考えられる場合に若干修正しています。
- 日本語での記述におかしいと思われる個所がある場合には原書をあたってください。
- 技術的などの理由で記載内容にわからない事項がある場合には別途調べてください(“さかきけい”に質問のメールを送るのはご遠慮ください※4)。
- 明らかな誤訳がある場合には具体的なご指摘をメールでお知らせいただけると助かります。
- 記述内容に誤りがある場合にもお知らせいただけると嬉しく思います。ただし、原書も間違っている場合には特に日本語ドキュメントを修正することはせずに、訳注を追加するだけとするかもしれません。
- 前述の内容と被りますが、“さかきけい”は何ら責任や義務を負うものではありません。
文書についてのご指摘をいただける方へのお願い
- なるべく平坦でかつ理解しやすい程度に周辺情報を含む、日本語でのご指摘をお願いします。特に今回は“さかきけい”の理解の範疇を超えたハードウェアに関する部分のため、従来より多くの問題が存在し、それを理解するための周辺情報も多く必要であることが見込まれます。
- “さかきけい”の主観において、いただいた情報の適用を行わないことがあることをあらかじめご理解ください。
- ご連絡をいただける際には、以下の優先度でお願いします:
- “さかきけい”へのメール
- Facebook経由でのコンタクト
- このメモへのコメント
ただし、このメモへのコメントの場合、大量のスパム・コメントに埋もれて反応が遅くなったり気づかない可能性があります。できる限りメールかFacebookでお願いします。
Intel® Edison Breakout Board
ハードウェア・ガイド
2015年1月
リビジョン 006
ドキュメント番号: 331190-006
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コンテンツ
図一覧
- 図1 Intel® Edison Breakout Boardのブロック・ダイアグラム
- 図2 Breakout Boardのジャンパー (ボードの表)
- 図3 Breakout Boardのジャンパー (ボードの裏)
- 図4 Intel® Edison Breakout Boardの電力供給ネットワーク
- 図5 物理設計図
- 図6 Breakout BoardへのIntel® Edisonモジュールの挿入
- 図7 Digikeyによる供給
表一覧
改定履歴
リビジョン | 詳細 | 日付 |
---|---|---|
ww32 | 初期リリース | 2014年8月4日 |
ww34 | 若干の編集 | 2014年8月20日 |
001 | 最初の一般公開 | 2014年9月9日 |
002 | 若干の編集 | 2014年9月15日 |
003 | 取り扱い情報の追加 | 2014年9月30日 |
004 | USB接続とBreakout Boardのジャンパーの詳細を追加 | 2014年10月16日 |
005 | LEDに関する情報とソフトウェア・リカバリーのセクションを追加 | 2014年11月14日 |
006 | 若干の修正 | 2015年1月30日 |
1 はじめに
このドキュメントはIntel® Edison Breakout Boardについて説明するものです。
Intel® Edison Breakout Boardは、Intel® Edisonモジュールのネイティブ 1.8 VのI/Oをそのまま露出させるように設計されています。ボードには、電源、バッテリー再充電器、USB OTG電源スイッチ、UARTからUSBへのブリッジ、USB OTGポート、およびI/Oヘッダーが搭載されています。
1.1 参照
表1 製品固有ドキュメント
参照 | 名称 | 番号/場所 |
---|---|---|
331188 | Intel® Edison Board Support Package User Guide | |
331189 | Intel® Edison Compute Module Hardware Guide | |
331190 | Intel® Edison Breakout Board Hardware Guide | (このドキュメント) |
331191 | Intel® Edison Kit for Arduino* Hardware Guide | |
329686 | Intel® Galileo and Intel® Edison Release Notes | |
[GSG] | Intel® Edison Getting Started Guide | W: http://www.intel.com/support/edison/sb/CS-035336.htm M: http://www.intel.com/support/edison/sb/CS-035344.htm L: http://www.intel.com/support/edison/sb/CS-035335.htm |
331438 | Intel® Edison Wi-Fi Guide | |
H49905 | Intel® Edison Breakout Board Schematic | https://communities.intel.com/docs/DOC-23323 |
2 高レベル機能の説明
Intel® Edison Breakout Boardのブロック・ダイアグラムを図1に示します。
図1 Intel® Edison Breakout Boardのブロック・ダイアグラム
2.1 Intel® Edison Breakout Boardのジャンパー
このセクションでは、Intel® Edison Breakout Boardのジャンパーのうち、いくつかについて説明します。ジャンパーの位置については図2を参照ください。
- J2の左のピン(四角いピン)は+Vバッテリーで、右のピンはグラウンドです。
- J2はバッテリー・コネクターです。もしリチウムイオン充電池からBreakout Boardへの給電を行うのであれば、J2に取り付けます(バッテリーの極性については図2を参照ください)。リチウムイオン充電池が取り付けられている際に、電源がJ21またはJ22、またはJ3(ボードがUSBホストに取り付けられている時)を介して供給されると、Breakout Boardは常にバッテリーを再充電します。
注記: もしもJ2でバッテリー・パックを使用することを選択するなら、サーミスターを内蔵したバッテリーを推奨します。このサーミスターはBreakout Boardの充電器に装着すべきです。もしも内蔵するサーミスターを使用するのであれば、J1のジャンパーを外し、サーミスターを図2のTHERMとラベルされたピンと接続してください。もしもサーミスターを内蔵したバッテリーを使用しないのであれば、ジャンパーを戻しておく必要があります。 - J3のmicro USBは、FTDIのシリアルからUSBへのコンバーターです。Linuxコンソールは、このUSBコネクターにシリアル・ストリームを出力します。
- J16は完全にUSB互換で、Micro-AB、OTG(電源対応の“on the go”)に対応したポートです。もしもMicro-Aケーブルをこのポートに差し込むと、 Intel® EdisonはホストとしてPCと接続します; もしもMicro-Bケーブルをこのポートに差し込むと、Intel® EdisonはデバイスとしてPCと接続します(USB A メスからMicro Aオスへの変換ケーブルについてはこちらを参照してください: 図7のDigikey P/N 10-00649 839-1105-ND)。
- J17からJ20のジャンパーにおける、左(四角形)の最初のピンが1ピンです。
- J21はメインの電源入力です。7~15 VDCを適切な極性で供給することができます。
- J22(ボードの裏面にあります; 図3を参照してください)は電源ジャック(装着されていない)です。図3で示されているように、2.5 mm バレル・ジャック(図7のミニブレークアウト パワー・ジャックを参照してください: Digikey P/N PJ-002BH-SMT-TR CP-002BHPJCT-ND)を購入して、ボードの裏側にはんだ付けすることができます。なお、J22への入力電圧は7~15 VDCです。
図2 Breakout Boardのジャンパー (ボードの表)
図3 Breakout Boardのジャンパー (ボードの裏)
2.1.1 USBインターフェース
Intel® Edison Breakout Boardには1つのUSB 2.0インターフェースがあります。このJ16インターフェースの主要な目的はコードのダウンロードにあります。ID信号を使用することで、完全なUSB“On the Go”(OTG)をサポートするように設計されています。もしもUSB Micro-Bコネクターを挿しこむなら、Breakout BoardはUSBデバイスとして機能し、USBコネクターから電力を取り入れます。
もしもUSB Micro-Aコネクターを挿しこむなら、Breakout Boardはホストとして機能します。このように、ホストとしてIntel® Edison Breakout Boardを使用するのであれば、J21またはJ22を通して外部電源を供給しなければなりません。Breakout BoardはUSBコネクターに5 Vを供給するために電圧の変換を行います。
注記: もしもバッテリーでBreakout Boardを動作させると、USBホストとして電源を供給することはありません。
2.2 Intel® Edison Breakout Board 拡張ヘッダー
このセクションでは拡張ヘッダーについて説明します。
ピン・モードがGPIOを選択しているとき、出力または入力としてモードを設定することができます。入力として設定すると、GPIOは割り込みまたはウェイク・ソース(スリープ解除ソース)として機能します。入力は、プルアップまたはプルダウンを選択することができます。プルアップは、2、20、あるいは50 kΩを選択できます。また、I2Cピンには910 Ωの追加抵抗があります。汎用モードの場合、入力するGPIO信号はデフォルトでグリッジ・フィルターを通しますが、その前にエッジ検出レジスターに到達します。
パルスをエッジ検出レジスターが検出することを保証するために、パルスは5クロック・サイクル以上の長さがあるべきです。
- SoCがS0ステートの場合、50 MHzクロックのため、100 nsが必要です。
- SoCがS0i2ステートの場合、19.2 MHzクロックのため、260 nsが必要です。
- SoCがS0i3ステートの場合、32 kHzクロックのため、155.5 μsが必要です。
ほとんどのGPIOが可能なピンのすべてが、リセットがアサートされている間、GPIOの入力として構成されています。そして、これは別の構成に変更されるまで持続します。
GPIOは個別にクリアするかまたはセットすることで出力にすることができます。これらは、スタンバイ状態に入るとき、いずれかの状態になるようにあらかじめ設定することができます。駆動出力は±3mAです。
表2 Intel® Edison Breakout Board 拡張ヘッダー信号リスト
ピン | 詳細 | ||
---|---|---|---|
J17 – 1ピン | GP182_PWM2 | GPIO, PWM出力を備える。 | |
J17 – 2ピン | NC | 接続なし。 | |
J17 – 3ピン | NC | 接続なし。 | |
J17 – 4ピン | VIN | 7 ~ 15 V。 | |
J17 – 5ピン | GP135 | UART2_TX | GPIO, UART2 送信 出力 |
J17 – 6ピン | RCVR_MODE | ファームウェア・リカバリー・モード。 | |
J17 – 7ピン | GP27 | I2C6_SCL | GPIO, IC26 SCL 出力 オープン・コレクター。 |
J17 – 8ピン | GP20 | I2C1_SDA | GPIO, I2C1 データ オープン・コレクター。 |
J17 – 9ピン | GP28 | I2C6_SDA | GPIO, I2C6 データ オープン・コレクター。 |
J17 – 10ピン | GP111 | SSP5_FS1 | GPIO, SSP2 チップ・セレクト 2 出力。 |
J17 – 11ピン | GP109 | SSP5_CLK | GPIO, SSP5 クロック 出力。 |
J17 – 12ピン | GP115 | SSP5_TXD | GPIO, SSP5 データ送信 出力。 |
J17 – 13ピン | OSC_CLK_OUT_0 | 高速クロック出力。 | |
J17 – 14ピン | GP128 | UART1_CTS | GPIO, UART1 送信可能 入力。 |
J18 – 1ピン | GP13_PWM1 | GPIO, PWM出力を備える。 | |
J18 – 2ピン | GP165 | GPIO | |
J18 – 3ピン | GPI_PWRBTN_N | 電源ボタン 入力。 | |
J18 – 4ピン | MSIC_SLP_CLK2 | 32 kHz スリープ・クロック。 | |
J18 – 5ピン | V_VBAT_BKUP | RTC バックアップ・バッテリー 入力。 | |
J18 – 6ピン | GP19 | I2C1_SCL | GPIO,IC21 SCL 出力 オープン・コレクター。 |
J18 – 7ピン | GP12_PWM0 | GPIO, PWM出力を備える。 | |
J18 – 8ピン | GP183_PWM3 | GPIO, PWM出力を備える。 | |
J18 – 9ピン | NC | 接続なし。 | |
J18 – 10ピン | GP110 | SSP5_FS0 | GPIO, SSP1 チップ・セレクト2 出力。 |
J18 – 11ピン | GP114 | SSP5_RX | GPIO, SSP5 受信データ 入力。 |
J18 – 12ピン | GP129 | UART1_RTS | GPIO, UART1 送信要求 出力。 |
J18 – 13ピン | GP130 | UART1_RX | GPIO, UART1 データ受信 入力。 |
J18 – 14ピン | FW_RCVR | ファームウェア・リカバリー 起動時に正論理。 | |
J20 – 1ピン | V_VSYS | システム入力電源。 | |
J20 – 2ピン | V_V3P30 | システム 3.3 V 出力。 | |
J20 – 3ピン | GP134 | UART2_RX | UART2 Rx (入力). |
J20 – 4ピン | GP45 | COMPASS_DRDY | GPIO, コンパスのデータ準備完了 入力。 |
J20 – 5ピン | GP47 | ACCELEROMETER_INT_2 | GPIO, 加速度センサー割り込み 入力 2。 |
J20 – 6ピン | GP49 | GYRO_INT | GPIO, ジャイロ割り込み 入力。 |
J20 – 7ピン | GP15 | GPIO. | |
J20 – 8ピン | GP84 | SD_CLK_FB | GPIO, SD クロック・フィードバック 入力。 |
J20 – 9ピン | GP42 | SSP2_RXD | GPIO, SSP2 Rx データ 入力。 |
J20 – 10ピン | GP41 | SSP2_FS | GPIO, SSP2 フレーム・シンク 出力。 |
J20 – 11ピン | GP78 | SD_CLK | GPIO, SD クロック 出力。 |
J20 – 12ピン | GP79 | SD_CMD | GPIO, SD コマンド。 |
J20 – 13ピン | GP80 | SD_DAT0 | GPIO, SD データ 0。 |
J20 – 14ピン | GP81 | SD_DAT1 | GP81 SD データ 1。 |
J19 – 1ピン | NC | 接続なし。 | |
J19 – 2ピン | V_V1P80 | システム 1.8 V 出力 電源。 | |
J19 – 3ピン | GND | グラウンド。 | |
J19 – 4ピン | GP44 | ALS_INT_N | GPIO, ALS 割り込み 入力。 |
J19 – 5ピン | GP46 | ACCELEROMETER_INT_1 | GPIO, 加速度センサー 割り込み 入力。 |
J19 – 6ピン | GP48 | GYRO_DRDY | GPIO, ジャイロのデータ準備完了 入力。 |
J19 – 7ピン | RESET_OUT# | システム・リセット出力 Low。 | |
J19 – 8ピン | GP131 | UART1_TX | GPIO, UART 1 Tx 出力。 |
J19 – 9ピン | GP14 | AUDIO_CODEC_INT | GPIO, オーディオ・コーデック割り込み 入力。 |
J19 – 10ピン | GP40 | SSP2_CLK | GPIO, SSP2 クロック 出力。 |
J19 – 11ピン | GP43 | SSP2_TXD | GPIO, SSP2 送信データ 出力。 |
J19 – 12ピン | GP77 | SD_CDN | GPIO, SD カード検出 Low 入力。 |
J19 – 13ピン | GP82 | SD_DAT2 | GPIO, SD データ 2 |
J19 – 14ピン | GP83 | SD_DAT3 | GPIO, SD データ 3 |
2.3 Intel® Edison Breakout Boardの電源供給
Intel® Edisonは低消費電力のデバイスです。通常の消費電力は200 mAですが、Wi-Fi送信による短期間のスパイクが600 mAを発生させます。このため、Intel® EdisonデバイスはUSB電源(デバイスとして構成されている場合)あるいは外部の電源アダプターからの7~15 Vを必要とすることがあります。
外部電源アダプターからの電源はDC-DCコンバーターへ行き、降圧コンバートで5 Vになります。5 VレールはUSB VBUSレールのあるダイオードORedです。この電源はバッテリー再充電器ICへ行き、4.4 Vに制限された電圧が出力されます。これはEdisonモジュールのVSYS用の安全な範囲の電圧です。VSYSの電圧範囲は3.15~4.5 Vです。これにより、Intel® Edisonデバイスを標準的なリチウムイオン電池で動作させることが可能になります。充電器ICは電流を1 Aに制限するように構成されます。充電器は190 mAで充電するように設定されています。この充電器は、最大4.2 Vを充電電圧とする標準リチウムイオン電池に充電するように設計されています。ユーザーは適切なバッテリーを選ぶこと、および充電時に充電池の温度が高くなりすぎないようにすること、過充電を防ぐために全ての安全措置を取ることに責任があります。
この設計の欠点は直線的な電源供給の損失が、総合電源としてIntel® Edisonボードと3.3および1.8 Vの供給に対して制限を設けてしまうということです。充電器を通した電力損失が(4.4~5 Vで)よく見られるでしょう。この場合、Intel® Edisonボードとその電源レールを通じた電流を約0.75 Aに制限することを試みる必要があります。
Intel® Edison Breakout Boardの再充電器ICには、入力電流制限と過剰な温度上昇によるシャットダウン機能があります。ユーザーによる設計は、これらの保護メカニズムを起動させないことを保証しなければなりません。
Intel® Edison Breakout Boardには電力供給におけるいくつかの課題があります:
- USBホスト・モードは常に外部電源アダプターの使用を必要とします。
- ユーザーには充電の際にバッテリーの温度が非常に高くなること、または充電過多(過充電)になることを防ぐために、適切なバッテリーを選択し、すべての安全措置を講じることに責任があります。100 mA※5の充電電流では少なくとも300 mAhの容量を備えたバッテリーでなければなりません。Intelは内部保護回路を備えたバッテリー・パックを推奨します。
図4 Intel® Edison Breakout Boardの電力供給ネットワーク
2.3.1 ブート時の電源選択 – DCIN信号
DCINは、Edisonがバッテリーまたは外部の電源からのいずれで動作しているかを示す信号です。また、DCINはブートするためにVSYSに必要な電圧レベルを決定します。DCINが未接続またはグラウンドに接続されている場合には、100ミリ秒でVSYSの電圧が2.5Vから3.5Vまで上昇しなければならず、そうでなければブートは中止されます。ブートが中止された時には、電源は2.5V未満に回帰しなければなりません。もし、DCINがVSYSに接続されている時に100 msにわたってVSYSが2.5 Vを超えているならEdisonはブートを開始します。
注記: DCINがVSYSに接続されている場合に、100 msにわたって電圧が2.8 Vを超えるのであれば必ずブートを開始します。DCIN信号はPCBのVSYSに配線します。
注記: Wi-FiおよびBluetoothの機能性を保証する絶対最小電圧は3.15 Vです。
2.4 Intel® Edison Breakout Boardのボタン
Intel® Edison Breakout Boardには以下のボタン(図2を参照)があります:
- 電源ボタン: 電源ボタン(SW1)はソフトウェアによって構成されています。電源ボタンを押したり長押ししたりすることで、その時間とIntel® Edison Compute Moduleの状態に応じて、それぞれの結果を促します:
- Intel® Edisonデバイスが完全にパワー・ダウンしている状態で、電源ボタンを3秒長押しするとデバイスの電源が入り、Intel® Edison Compute Moduleが起動します。
- Intel® Edisonデバイスの稼働中に、電源ボタンを2秒以上7秒未満の間、長押しするとIntel® EdisonデバイスはAP(アクセス・ポイント)モードに入ります。これによって“ワンタイム・セットアップ”を有効にします(
configure_edison --enableOneTimeSetup
の実行と同じです)。 - Intel® Edisonデバイスの稼働中に、電源ボタンを10秒以上長押しするとIntel® Edison Compute Moduleの電源切断を促します。これはハード・シャットダウンに近いもので、Compute Moduleへの電力供給をカットします。
2.5 Intel® Edison Breakout Board 物理設計図
図5にDXFフォーマットによるIntel® Edison Breakout Boardの物理設計図を示します。
図5 物理設計図
2.6 LED(発光ダイオード)
Intel® Edison Breakout Boardには2つのLEDがあります。これらのLEDに対して直接的な制御機能は一切なく、したがって情報の提供目的のみに使用します。
- DS1はリセットLEDです(場所は図2を参照ください)。Intel® Edisonプロセッサーが稼働中に点灯します。プロセッサーがリセット中でRESET_OUT#がLowにアサートされている最中には消灯します。
- DS3は充電中LEDです(場所は図2を参照ください)。装着されたバッテリーをBQ24074が充電中に点灯します。
3 取り扱い
Intel® EdisonモジュールをBreakout Boardに組み込む際には、PCB端の近くにIntel® Edisonモジュールを取り付けます。シールドを掴んだり圧力を加えることは避けてください。Breakout BoardにIntel® Edisonコンピュート・モジュールを噛み合わせるように、コネクターのその上と左上角を押してください。
図6 Breakout BoardへのIntel® Edisonモジュールの挿入
4 Digikeyによる供給
図7にユーザーが使用できるサードパーティのアクセサリーを示します。※6
図7 Digikeyによる供給
結合コネクター 2.0 mm |
ミニブレークアウト 電源ジャック※7 |
ミニブレークアウト USB アダプター・ケーブル |
Mini-breakout male header |
まとめ
先日の“「Intel Edison Compute Module Hardware Guide」を日本語で読んでみる”に引き続いて日本語ドキュメントを作成してみました。こちらのボードも多くの方が使用しており、参考にしていただけるのではないかと思います。
今回のこの日本語ドキュメントの作成には概ね2日ほどかかりました。先日の日数の数え方も同じなのですが、フルタイム換算ではなく実際に作業に着手してからアップロード(公開)を完了するまでの日数です。平日は普通に会社員として仕事をしていますので、その時間は作業時間として使用することはできません。フルタイムで取り掛かったら半分くらいのなるのかなぁ、という感触を持ちながら作業を行いました。ワード数比だと前回の方がやや早かったようです。
私が該当ドキュメント「Intel Edison Breakout Board Hardware Guide」を読んだ解釈をベースとする、この情報が少しでも皆様のお役にたてば幸いです。
日本語ドキュメント 改定履歴
2015年2月21日
初版
2015年3月2日
- 誤字、脱字の修正を行いました。
- 一部の見出しを日本語として意味が通りやすいように変更しました。
- より日本語らしい表現に一部を改めました。
- 表に枠線を加えました。
関連記事
- 「Intel Edison Compute Module Hardware Guide」を日本語で読んでみる
- 「Intel Edison Kit for Arduino Hardware Guide」を日本語で読んでみる
- 有効にしたい場合は原書をご確認ください。
- インテル株式会社による表現がそうなっているので、それに合わせています。
- インテル株式会社による表現がそうなっているので、それに合わせています。
- 質問者の技術レベルに応じて必要な回答を用意するのは、非常に高いスキルと多くの時間を必要とするものです。私はこれらのサービスが可能な状態にはありません。
- 訳注:これは例え、あるいはArduino Boardからのコピーの際の修正漏れのいずれかです。「2.3 Intel® Edison Breakout Boardの電源供給」および「図4 Intel® Edison Breakout Boardの電力供給ネットワーク」に記載があるように、Breakout Boardの充電電流は190 mAです。
- 訳注: リンク先はすべてDigiKeyの日本語ページの方に変更しています。
- 訳注: 編集に失敗しているようなので他の部分と整合性があるように修正しています。
- 訳注: ここで紹介している部品は本文に存在せず、また2×14としつつ2×7の部品へのリンクとなっていて、紹介意図が不明です。推測になりますが、おそらくはBreakout Boardの裏面にこのタイプのコネクターを取り付けることを意図していたのではないかと思われます。