はじめに
先日「PowerDVD 9とAACSキーにまつわるお話」で書いたように、アニメ「青い花(Sweet Blue Flowers)」のBlu-ray BOX(4935228131983
)を発売日に予約購入、さっそく見てみましたのでその感想を書いてみたいと思います。
今回は素材がDVDではないことと、見ている機器がパソコンではなくPlayStation 3であることから、画像の引用は全くありません。
「青い花」について
この「青い花」は、志村貴子さんのまんが原作を元にしたアニメです。完結したのが最近(2013/07/06発売の「マンガ・エロティクス・エフ vol.82」)で、このアニメは2009年制作で、といったわけで、まんが版のストーリーの一部を元にしています。どこまで描くのかな~、と思ってみてみたのですが、新学期ちょっと前からその年の冬までです。
収録内容
ディスク2枚組でDISC.2は特典映像が含まれています。
DISC.1
- 花物語
- 春の嵐
- 朝目覚めては
- 青春は美わし
- 嵐が丘(前編)
- 嵐が丘(後編)
DISC.2
- 若葉のころ
- 恋は盲目
- 夏の夜の夢
- 幸福の王子
- 冬の花火
スタッフ
- 原作:志村貴子(「マンガ・エロティクス・エフ」連載/太田出版刊)
- 監督:カサヰケンイチ
- シリーズ構成:高山文彦
- キャラクターデザイン・総作画監督:音地正行
- プロップデザイン:冷水由紀絵
- 美術監督:小林七郎
- 色彩設計:石田美由紀
- 撮影監督:大河内喜夫
- 編集:後藤正浩(Real-t)
- 音響監督:明田川仁
- 音響制作:マジックカプセル
- 音楽:羽毛田丈史
- 音楽制作:ランティス
- アニメーション制作:J.C.STAFF
- 製作:青い花製作委員会
- 万城目ふみ → ふみちゃん (声:高部あい)
- 奥平あきら → あーちゃん (声:儀武ゆう子)
- 井汲 京子 → 井汲さん (声:堀江由衣)
- 三浦 香織 → (部長) (声:中村知子)
- 各務 正則 → (各務先生) (声:浜田賢二)
- 川崎 文子 → (キャサリン先輩) (声:小野涼子)
- 澤乃井 康 → 康ちゃん (声:浅沼晋太郎、田中晶子(幼少期))
- 奥平 忍 → 兄貴 (声:川田紳司)
- 奥平 咲子 → (奥平あきら、忍の母) (声:北西純子)
- 杉本 恭己 → 杉本先輩 (声:石松千恵美)
- 安田 美沙子 → やっさん (声:井口裕香)
- 本厚木 洋子 → ぽんちゃん (声:矢作紗友里)
- 茂木 美和 → モギー (声:豊崎愛生)
- 杉本 和佐 → (次女) (声:福井裕佳梨)
- 万城目 芳江 → (万城目ふみの母) (声:藤村歩)
- 杉本 姿子 → (長女) (声:能登麻美子)
- 杉本 公理 → (三女) (声:中原麻衣)
- 奥平 義道* → (あーちゃんの父) (声:坂勉)
- 万城目 章夫* → (ふみの父) (声:小形満)
- ふみの祖母* → (ふみの祖母) (声:宮沢きよこ)
- 本編楽曲
羽毛田丈史 - オープニングテーマ
「青い花」
作詞・作曲 – 山崎ゆかり / 編曲・歌 – 空気公団 - エンディングテーマ
「センティフォリア」
作詞・歌 – Ceui / 作曲 – 小高光太郎、Ceui / 編曲 – 小高光太郎
※敬称略
登場人物について
本稿では登場人物については作中の一般的な名称を使用しています(本稿では使っていなくても作品内で使っているものも併記しています):
※敬称略
※上記一覧はBlu-ray BOX付属の青い冊子に基づいています(呼び名を除く)。それに載っていて抜けていたり間違っていたら私のミスです。すみません。
※*付きは上記冊子に記載のないものです。
※順番は私の独断です。気に入らない方、すみません。
※詳しくはWikipedia日本語版の「青い花 (漫画)」を参照してください。
絵
志村さんの独特なタッチの絵をどのようにアニメにするのだろうか「雰囲気大丈夫かなぁ」と見る前は心配だったのですが、素晴らしいですね~。全体的に白強めっぽく調整してあって、キャラクターの線は細いし、背景が水彩っぽくて、いい雰囲気です。水はCG加工?、電車とかは3Dだけどうまくなじんでいてまるで違和感なし。あとは木漏れ日の光と影がキャラクターにきれいに落ちているのがよかったです。見ていてとてもきれいでした。
あと、これは言っておきたいのが眉。かなり細かい演技をしています。これを見ているかどうかで、結構物語の進行方向について違う印象を抱いてしまうのではないかと思います。
音楽
※敬称略
音楽もアニメにぴったりマッチしています。日常の曲も、オープニングも、そしてエンディングも。それだけに「いいよ!あっているよ!ぴったりだよ!」という以外にちょっとコメントがしづらかったりします。アニメの楽曲がぴったりはまっているっていうのは、こういう状態なのかもしれませんね。
最終回の挿入歌はすごくいい感じ。違和感なく…。それどころか語りあげる感じ。なのに、浮いてないんですよねぇ。
オープニング
最初にオープニングが入って、というタイプのアニメではなく、最初にちょっと話があって、それからオープニング音楽が始まって、シーンが切り替わる感じになっています。
オープニングはアニメ「少女革命ウテナ」の幾原邦彦監督による演出でした。そういえば幾原さんのページに書いてありましたね。完全に見るまで忘れていました。
すごいきれいだし、オープニング単体では完成されていると思うのですが、このアニメのオープニングとしてはちょっとどうかな、なんて思いました。ちょっとね、扇情的すぎるかなー、と。原作も本編も、抑えに抑えた中で話が進んでいくので、そんな風に感じたのだろうと思います。
実際、本Blu-ray BOXの中で進む話の中では最後の最後までふみちゃんの初恋はあーちゃんだっていう話にならないわけで。だからこそ、それがいいし、アニメのテーマとなる(?)キーワード「あなたは初恋の人を覚えていますか?」 が活きてくると思うんです。本編でその焦点へ向けて大事に一歩一歩大切に歩んでいるのにオープニングってば!と感じてしまったわけです。
原作を知らない人から見れば、ものすごーいネタバレですよね。ふみちゃんと杉本先輩の話が進んでいる最中でもこのオープニングって、ちょっとインパクトありすぎ…です、はい。
逆に原作が既読の人にはたぶん違和感はなかったのではないかな~、と思います。
本編
本当は一話一話感想を書こうかな~と思ったのですが、そうすると全然終わらない気がしたのと、今はそれをしている時間が取れないのとでガッツリまとめで行きます(今後時間が取れて気力が残っていたら、別途各話で感想を書くかもしれません)。
小さな話の前後や差異はともかくとして、大枠としては原作に沿ったストーリーで進行していきます。各キャラクターの声も、全員違和感なくて、すっとアニメの世界に入っていけました。テンポは原作の雰囲気を尊重している関係で、かなりゆっくり目、だと思います。でも、そのゆっくりさ加減がいいんですよね。間が雰囲気をみごとに作り出していると思います。
アニメ内のエピソードで心に残ったことをちょっと書いてみます。
初等部の二人
登校時に挨拶している初等部の二人がいい感じですね~。いい雰囲気を出していると思います。それが時々入っていて、いい感じにシーンを切り替える効果を出しています。
ふみちゃんと千津ちゃん
ふみちゃんが千津ちゃんに間接的に結婚することを知ってしまうところ、ぐっときますね。ふみちゃん、きっとこれで初めて知ったんですよね…。驚きとともに裏切られた感じ、そんな雰囲気がすごく出ています。
兄貴…
まんがでも「うぜ~~!」とか思って読んでいましたが、アニメだとこれに輪をかけてうざいと思いました。心配しているのはわかるんですけど、さすがにね…。
一話の最後
あきら:ふみちゃんはすぐ泣くんだから
(その一言は十年の月日を軽く飛び越えた。←ふみの声で)
心にしっかり残るシーンですよね。そして「ふみちゃんはすぐ泣くんだから」というセリフが心に刻み込まれるシーンでもあります。
杉本家の家族に恭己がふみを紹介するシーン
たぶん、杉本先輩(恭己)も当日中に訪れる結末を予想せずに自宅にふみちゃんを誘っての家族とのシーンから。
和佐:やっちゃんがお友達を連れてくるなんてめずらしい。
本当に仲がいいのね。
恭己:そのことでさぁ、みんなに話しておきたいことが…
周囲:?
恭己:私、この子と付き合ってます。
ふみ:えっ
周囲:(固まる)
公理:それは恋人関係にあるということ?
恭己:そうなるかな。
姿子:やっちゃんはレズビアンなの?
恭己:(かまえる)
公理:本当にその子が好きなの?
恭己:好きよ。
公理:今はその子が好きなのね。
恭己:!(怒る)
和佐:公理!
公理:本当に今好きな人はそのお嬢さんなのね?
恭己:しつこいなぁ(といいつつ、目をそらす)
そうだって言ってるじゃない。
公理:じゃあ恭己はバイセクシャルなんだわ。
恭己:!(赤面)
(ちゃぶ台をたたく)
ここは、本当に、なんていうか、超重要シーンです。恭己が自分の意識外に置いていることを強く意識せざるを得なくされるシーンです。そして、ふみちゃんにしてみると、初めて杉本先輩の過去の人の話が具体的に出てくることになります。これって、それだけでも本当に複雑なのに、さらに複雑になっちゃうシーンですよね。女性同士のお付き合いを姉妹3人+母に打ち明けるシーンでもあって。
なんか、考えれば考えるほどぐるぐるしてしまいます。
杉本先輩とふみちゃん
杉本先輩の過去を知ったふみちゃんが、自分のことを話し始めます。
ふみ:あの、
私、昔付き合ってた人がいます。
付き合ってたっていっても、姉と妹の延長みたいな感じで、
私、その人のことが好きだったけど、その人はたぶん…遊びで…
それで、
でも、先輩と会って、
私、本当に先輩のことが
恭己:本当かな?
ふみ:え…?
恭己:ふみは私のこと疑ってるよね?
昔の気持ちをまだ引きずっているって。
そうでしょ?
ふみ:(目を背ける)
恭己:それじゃあ、ふみは?
その人に振られて、タイミングよく私が現れた。
私もふみも一目ぼれした気になっただけかもしれないね?
杉本先輩は見た目と違って、すごく傷つきやすくて、もろくて、だから、自分を守るために周りを攻撃しちゃうタイプなんですね。そして、ふみちゃんは泣き出してしまいます。それを姿子(長女)がフォローして、恭己へ自分のことを他人のせいにするなと注意をします。
それでその場は収まるのですが…。というシーンで。うーん。
結局最後は付き合えない、そういうことになっちゃって。
まぁ、つい当たっちゃったんだよね。恥ずかしいところ見られちゃって。なんか、難しいね。
井汲さんとふみちゃん
杉本先輩を好きになって、ともに失恋した二人が杉本先輩について話しながら、喫茶店でお互いに泣き出してしまうシーン。なんか、妙に来るものがあって涙を誘われてしまいました。この自然なシーンは危険。いきなり引っ張り込まれる感じがしました。
ラストシーンへ向け走り出すストーリー
最終話(11話)は詰まった感じはしないけど、客観的に見るとゆっくりじゃなくて、ちょっとだけペースが速いですよね。あっという間に衣替え、そしてクリスマス、年末へと向かっていきます。
恭己:ねぇ、ふみ。
初恋を覚えてる?
一番最初に好きになった人を、ふみは覚えてる?
ふみ:私が、最初に好きになった人….
その時は、疑うことなくいとこの千津ちゃんを思い浮かべているふみちゃん。
最後にあーちゃんと廃校になる自分の出身校(小学校)に行ってみて…。
ふみ:(モノローグ:そうだ、どうして忘れていたんだろう。
私が最初に好きになったのは、
私の初恋の人は…)
あきら:いい?
わかった?
ふみ:え?
あきら:やだ、ふみちゃんおこってないよ。
ふみ:ううん、違うの思い出したの。
ふみ:とっても大切なこと。それで。
あきら:そう。
あきら:よかったね。
ふみ:うん….
あきら:よし、じゃあ、帰ろうか。
あきら:ほら、いこ?
ふみ:うん….。
ふみちゃんが自分の本心、と、そして自分の過去に出会います。まー、なんていうか。あーちゃんはこの段階では知らないのよね。
あきら:ふみちゃんはすぐ泣くんだから。
澤乃井さんの立場
思い出の場所とかエピソードとか。周囲に共有されるのって、澤乃井さん不本意そうですよね。それはわかる気がします。二人の大切な思い出に他の人が入り込んでくる感じがするのですよね。そして、それは自分の恋(愛)の終焉を予感している気がするんです。同じ価値観を共有できていないというか。そういう感じのシーン、ありますよね。
おまけ
最終回の雑貨店の名前が「Fancy Kunihiko」になっているのに笑いました(言うまでもなくオープニングの演出をした幾原邦彦さんのことですね!)。
2013/09/21追記
前述の「杉本家の家族に恭己がふみを紹介するシーン」の中のうち「初めて杉本先輩の過去の人の話が出てくることになります。」を「初めて杉本先輩の過去の人の話が具体的に出てくることになります。」(「具体的に」を追加)に変更しました。DISC.1の過去の片思いの話は私はノーカウントだろうって思っていたんですが、これをカウントする人もいるかもしれないな、と思い直したからです。
まぁ、なんていうか。みんな、不器用な人たちっていう話なんですよね。私がいえるのかー、っていうのは無視するとして。
個人的には和佐さんが赤くなる(DISC.2 01:15:28~)シーンが一番好きです。見ていて自分も赤くなりました!^^
エンディング
最終回のエンディングは別として、その他のエンディングは原作者の志村さんの絵で締められます。すごく、なんていうか、原作を読み終えて、その裏表紙を見たときの感覚に近いものがあります。なにか、ほっとしますね。そんな感じがすごく出ていると思います。
そのシーンにエンディングテーマ「センティフォリア」が見事にマッチして歌い上げています。見てみれば、きっと納得すると思います。
まとめ
このアニメは、原作の雰囲気をとても大事にしています。そういう意味で、原作を好きな人により強くフォーカスされたアニメだと思います。なんというか、原作の設定の巧みさがいろんな意味ですごいなと、アニメの感想をまとめていて思いました。特に各務先生周りの設定は、ある意味、本当にすごいと思いました。
個人的には高部あいさんの演じるふみちゃんがとっても魅力的でした。声優さんなのかな?と思ったらタレントさんなのですね。びっくりです。違和感全くなかったです。むしろうまいなーっていうか、妙にあっているな~、と。
私はちょうど、本当に偶然なのですが、このアニメの範囲しか原作を読んでいません(持っているのですが、積んでいて読めていません…すみません…)。いろいろな意味で、そういう意味で外していることを書いていたらすみません…。明日(2013年09月12日)に最終巻が出たら通して読むつもりです。 なので、その前にこれを最初の感想として出しておきたかったんです。そうでないと、きっと感想変わってしまうかな、と思うのです。そういうわけで、このファーストインプレッションを書けるのは今だけだと。
そのうち最終話までの続きがオリジナル(このまま)の配役ででないかなー、と望んでいます!(続編作るなら声、変えてほしくないな、って思っています)
追伸
輸送上の問題で作品そのもののことではないのですが、外側の紙ケースつぶれてました (+o+) 見られたのでよしとしておきますか…。