いろいろ複数回にわたってとFOMA P902iのBluetoothについて書いてきましたが、今回で総括としてBluetoothに関してはいったん終了としたいと思います。
まず、Bluetoothの対応プロファイルと各サービスの関係を以下に示します(Bluetooth規格で実装が必須とされているものを除きます)。
プロファイル名 | 略称 | 排他 | サービス名 | 方向 | 補記 |
---|---|---|---|---|---|
Headset Profile | HSP | HFPと排他 | ヘッドセット | 送 | 通話をヘッドセットで行うためのプロファイルです。 |
Hands-Free Profile | HFP | HSPと排他 | ハンズフリー | 送 | 通話をヘッドセットやその他の接続機器で行いつつ、一定の操作をそれらの機器で可能にしたプロファイルです。 |
Advanced Audio Distribution Profile | A2DP | DUNと排他 | オーディオ | 送 | 音声(オーディオ)を無線で飛ばすためのプロファイルです。 |
Audio/Visual Remote Control Profile | AVRCP | DUNと排他 | 受 | オーディオ・ビジュアル機器のリモートコントロールを行うためのプロファイルです。 | |
Dial-up Networking Profile | DUN | A2DP/AVRCPと排他 | ダイヤルアップ | 受 | パソコンやPDAからダイヤルアップを行うためのプロファイルです。 |
Object Push Profile | OPP | - | - | 送 | データ(オブジェクト)を転送するためのプロファイルです。 FOMA P902iの場合、「電話帳転送先設定」メニューで機器を指定し、電話帳機能内より送信指示をすることで送信します。受信機能は存在しないため、サービスの指定はありません。 |
このように一部のBluetoothサービスと他のサービスは競合関係にあり、同時に使用することはできません。先日のコラムで、
通話に関してはまだ試してみていません。そのうち機会があれば試してみたい、とは思うのですが。通常はオーディオサービスで接続しているので、通話をすることはできません(ハンドセットサービスで接続しないといけません)。よって、おそらくはそういう使い方をすることはないと思います。これもBluetooth標準を採用したが故の不便さ、ということなのかもしれません。
と書きましたが、これは誤りでオーディオサービスを使用している状態でもハンドセットあるいはハンズフリーサービスを使用することができます(試してみていませんけれど・・・少なくとも設定はできますので、使えるはずです)。
個人的に残念なのはオーディオを使用している状態でダイヤルアップができない点です。外出時に音楽を聴くことは日常であり普通に聴いているわけですが、その状態ではダイヤルアップができないのです。この「ながら」の構成はごく自然なものだと思うのでとても残念に思います。次の機種ではぜひとも両方を同時に使用できるようにしていただければと思います。
と、ここまで書いてきてふと思ったのですが、もしかすると、Bluetooth 1.2の最大帯域712kbpsというのが影響しているのかもしれませんね。オーディオデータとFOMAネットワークの最大384kbpsのデータを同時に扱うのは難しそうです。Bluetooth 2.0+EDRの実装を携帯電話に求めるのはまだ難しい段階なのでしょうか? できるようならばお願いします m(__)m ってここ見てないですよね、きっと(^^; → Panasonicの中の人
このFOMA P902iとプラネックス・コミュニケーションズ(PLANEX COMMUNICATIONS)製Bluetooth USB Dongle EDR(BT-01UDE)でBluetoothデビューをした私ですが、ワイヤレスの快適さを体験して満足してます。これから出る製品もBluetoothやWireless USBなどを積極的に採用してワイヤレス化を進めていってくれるといいなぁ、と思います。
次の機種の段階ではまだWireless USBが浮上しているとは思えないのでおそらくBluetoothになるだろうと思いますので、それを踏まえて次期FOMA Pシリーズに希望するBluetooth関連の項目を以下に挙げておきたいと思います。
- ダイヤルアップは他のいかなるBluetoothサービスとも同時に使用できるようにしてほしい。
- FOMA P専用Bluetoothオーディオレシーバーを次回も作るのであれば曲の関連データ(メタデータ)を転送して手元で見れるようにしてほしい。
- OPPで扱えるデータの種類と内容をUSBケーブルでの接続時と同レベルまで引き上げてほしい。
こんなところでしょうか。挙げてみると3つだけ。それだけ満足度が高くて後少しなにか痒いところに手が届かない感じ、なんですよね。それでもお勧めですので、Bluetoothに興味があってFOMAを買おうかな、と思っている方はFOMA P902iに注目してみてください。
最後に余談です。OPPで電話帳を送信することができるのはこれまでにも書いた通りなのですが、その際のファイル名(Nameヘッダの内容)が「nec_pb.vcf
」なのです。ここだけ「NEC」という文字列を取るのを忘れたようですね。FOMA P2102VとFOMA N2051/N2102Vの間でiモーションや画像データなどをやり取りできない互換性の問題はこの「NEC」という文字列のあるなしだけだったので、かなりこだわりがあるのかと思ったのですが、今回はそのまま出てますね。