2014年第1四半期のパソコン向けグラフィック・チップのシェア

はじめに

最近のパソコン向けのグラフィックス・チップのシェア、すなわちAMD、Intel、NVIDIAの近況や統合GPU(Integrated GPU/iGPU/APU)と独立GPU(Discrete GPU/Dedicated GPU/dGPU)がどのような傾向にあるのか知りたいと思い、調べてみましたので、その内容をシェアしたいと思います。

トータルのマーケット・シェア

まずは、すべて合算されたトータルのシェアを見てみたいと思います:

  Market share this quarter Market share last Qtr Unit Change Qtr-to-qtr Share Difference Qtr-to-qtr Market Share last yr.
AMD 16.7% 18.3% -18.2% -1.6% 20.6%
Intel 66.8% 65.1% -7.9% 1.7% 60.8%
NVIDIA 16.6% 16.6% -10.4% 0% 18.2%
Others 0.00% 0.07% -100.0% -0.07% 0.360%

出典:Intel gains, Nvidia flat, and AMD loses graphics market share in Q1Jon Peddie Research

市場全体が縮小しているようにも見えますが、前クォーターがQ4のホリデーシーズンであることを差し引くと、いつも程度とみることができるのではないかと思います。その中で、AMDがシェアを落とし、その分がIntelに入っており、NVIDIAは横ばいのシェアとなっています。結果として、AMDとNVIDIAのシェアがほぼ拮抗し、IntelがiGPUでシェアをガッツリ持っていく形となっています。

注目すべき点は、最後の過去1年間のシェアと比較したときに、AMDとNVIDIAのシェアがそれぞれ-3.9%、-1.6%と減少しており、その分がIntelに+6%入っています。これは今クォーターの流れとも一致しており、このところの流れなのかもしれません。

そして、その他のチップ・メーカーが0.00%と、数字として出てこないレベルまで落ちてしまっています。

独立GPUのマーケット・シェア

続いて独立GPU(GPUボード)のシェアを見てみます:

  Market share this quarter Market share last quarter Market Share last year.
AMD 35.0% 35.0% 35.6%
Matrox 0.0% 0.1% 0.1%
NVIDIA 65.0% 64.9% 64.2%
S3 0.00% 0.05% 0.1%
Total 100.0% 100.0% 100.0%

出典:Add-in board market down in Q1, Nvidia holds market shareJon Peddie Research

過去1年間、前クォーター、今クォーターを比較すると、あまり変動なくAMDが35%前後、NVIDIAが65%前後で安定しています。MatroxとS3はほぼゼロという状況で、これはこれで安定しているといえるでしょう。

統合GPUのマーケット・シェア

Jon Peddie Researchは同じ時期の統合GPUについての発表をしていないようですので、引用した2つのデータから計算してみます:

  Market share this quarter Market share last quarter Market Share last year.
AMD 11.9% 13.2% 15.8%
Intel 88.1% 86.8% 84.2%

NVIDIAは統合GPUがないので、AMDとIntelだけです。AMDのトータル・シェアから独立GPUのシェア分を除き、AMDとIntelで100%になるように計算しました。こちらはベースとしてCPUのシェアとの連動があるので、Intelがだんだんシェアを伸ばす形となっています。

このペースに変化がないとすると、次クォーターにはIntelが90%になるかもしれません。

AMDのAPUとdGPUを分けたトータル・シェア

これまでの結果をもとに、トータル・シェアのからAMDの独立GPU(dGPU)と統合GPU(APU)に分けたシェアを計算してみます(この計算は前述の計算結果をそのまま使用しているため、AMDの値は最大で0.1%前後の計算誤差があります。それをご理解のうえご覧ください):

  Market share this quarter Market share last quarter Market Share last year.
AMD(APU) 7.7% 8.4% 9.1%
AMD(dGPU) 8.9% 9.8% 11.4%
Matrox 0.0% 0.1% 0.1%
NVIDIA 16.6% 16.6% 18.2%
Intel 66.8% 65.1% 60.8%
S3 0.00% 0.05% 0.1%

AMDはAPUとdGPUに分割される仕様の違い、例えばHSA(Heterogeneous System Architecture)がありますが、(APU全てがサポートしていると仮定して)トータル・シェアが7.7%となると、なかなかソフトウェア・ベンダーのサポートを受けるのは難しいのではないかと思われます。

まとめ

トータルと統合GPUではIntelが絶大なシェアを持ち、独立GPUではNVIDIAがAMDに対して8割以上多いシェアをとっていることがわかりました。各数字はワールド・ワイドのシェアなので、日本国内はまた違った感じかと思いますが、全体像をつかむためのデータとしては十分ではないかと思います。

個人的には独立GPU(ボード)では、NVIDIAとAMDのシェアはそう変わらないのではないかと思っていたのですが、実際にはNVIDIAが相当に優位な位置にいることをデータとして理解し、認識を新たにしました。また、一般的なパソコンでのゲーム・プレイヤーは統合GPUと独立GPUのどちらの使用者が多いのか、というのも気になってきました。

ちなみに私個人の現役パソコンの中でのGPUシェアは、Intel:0%、AMD:50%(APUとiGPUの合計2台)、NVIDIA:50%(ボード2枚)です。

動作テスト用の環境として、IntelのiGPU環境を用意する必要がありそうです。

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