NVIDIAがV-SYNCのオンとオフそれぞれで発生する問題の解決策として「G-SYNC」というものを発表したという記事を紹介します:
- NVIDIA,Vsync有効でも無効でもない第3のディスプレイ同期技術「G-SYNC」発表。その正体と狙いを明らかにする – 4Gamer.net
- NVIDIA、ティアリングやカクつきから完全解放する「G-SYNC」を発表 – GAME Watch
- NVIDIA、ティアリングやカクカク表示を追放する新技術「G-SYNC」 – マイナビニュース(2013年10月21日追加)
これはデジタル接続の液晶ディスプレイが一般化した後に多くの人が一度は考えたことがある解決方法だと思います(ブラウン管方式だと非現実的)。しかし、誰もそれを実行しませんでした。それを実際にやってしまって、商品化まであと一歩まで来たという発表で、この実行力、すなわち実際にやってしまうというNVIDIAのアグレッシブさにいつもながら感心します(最近ではGPGPUで最も顕著にこのアグレッシブさが出ていると私は感じています)。
さて、その方法ですが、簡単に短くまとめると、現在のグラフィックチップとディスプレイの間の定速で通信を続ける方法ではなく、グラフィックチップが絵を完成させたタイミングでそれをディスプレイに転送し、液晶の次のフレームで表示するというものです(グラフィックチップ→ディスプレイ内部フレームバッファへと転送→最速で0ラインから更新できる液晶タイミングで液晶の表示を更新する)。このため、液晶は高リフレッシュレートに対応したものを使用した方がより良い表示品質と使用感が得られます。
この解決方法はいわゆる「コロンブスの卵」的なものです。しかし、それを最初に実行したものはやはり評価されるべきでしょう。
実はこれ、Intelがノートパソコンに持ち込もうとしているものや、現在の一部のスマートフォンに導入されているものにも通じる技術です。双方ともリフレッシュを必要な時のみとし、それ以外は転送や液晶駆動を止めることで低消費電力を狙っています。このリフレッシュが必要なタイミングをGPUがフレームを完成させた瞬間としたのが、今回の技術ということですね。むろん、その目的は低消費電力ではなく、より良いゲーム体験のためのものです。また、動画にも非常に有効に適用できる可能性のある技術ですね。
ディスプレイ側に組み込む専用回路まで提供しているということで、作る気になればどのメーカーでも作れる利点がありますが、標準技術ではないのが今後への不安を感じさせます。パソコン側はNVIDIAのKeplerアーキテクチャ対応以降のGPUカードが必要ということで、ここ1年くらいにNVIDIAのボードを購入した人であれば使えるようです(私はGeForce 580のFermiアーキテクチャなので無理です)。
できればこの技術は標準規格化して、どこのグラフィックチップ/ディスプレイメーカーでも同じように使えるようにした方がいいんじゃないかと思うんですが、どんなもんなんでしょう? 特許化してたりするのでしょうか…?