インテル Galileo 開発ボードでMini PCIe→USB変換ボードを使用

はじめに

先日書いた“インテル Galileo 開発ボードでWi-Fi/BTを適法に使用する方法の実践”の“7. 無線LAN(Wi-Fi)とBluetoothを両方同時に使用する”において、

Mini PCI ExpressスロットにもUSB 2.0の信号が出ていますが、これを通常のUSBコネクターとして取り出す変換ボードは一般的とは言い難く、入手性もよいとは言えません。

と書きましたが、秋葉原ではこれを実現する製品が実際に売っていることもあり、入手して試してみることにしました。

Mini PCI ExpressからUSB 2.0を取り出すボード

今回使用する、Mini PCI ExpressからUSB 2.0を取り出すための変換ボードは株式会社アユートのMINIPCIE2USB24549325001850)です(以下、このボードをUSB変換ボードと記載します):

Project M MINIPCIE2USB2 パッケージ写真

購入価格は1900円くらいでした。

これは、Mini PCI Expressに出ているUSB 2.0の信号をそのまま取り出すためのボードであり、Mini PCI Express用のUSB 2.0ボードではありません。このため、Mini PCI ExpressにUSB 2.0の信号が出ていない場合には使用できない点に注意が必要です(インテル Galileo 開発ボードはUSB 2.0の信号が出ています)。

特筆すべき点は、製品紹介ページには対応スロットとして、

USB信号の出ているminiPCIe
(基板をカットすることで
 ハーフサイズなどにも対応)

と記載がありますが、なんとMini PCI Express用ではありません!! というと、ちょっと語弊があるかもしれません。まずは製品の写真を見てみてください:

Mini PCIe ハーフサイズ、フルサイズ、EEEPCサイズ兼用

ねじ止め用の穴が3か所ずつ2列あります。コネクターに近いほうから順に、Mini PCI Expressハーフサイズ用、Mini PCI Express フルサイズ用、そしてEee PC用です。そうです、デフォルトのサイズはEee PC用なのです。通常のこの手の製品ではMini PCI Expressハーフサイズとフルサイズ兼用なのですが、Eee PCをも兼用可能としているのです。

ちょっと予想外でびっくりでした。

Mini PCI Expressハーフサイズとフルサイズ用のねじ穴のすぐ近くに点線でシルク印刷されているのが見えるかと思いますが、ここはスルーホールが実装されており、必要に応じてその部分で切断しやすいようになっています。ただ、後述しますが、2か所に切断ポイントがあるのは利点でもあり、同時に欠点でもあります。

全景を見やすいように斜めにした両面の写真をそれぞれ以下に掲載します:

Project M MINIPCIE2USB2 表

Project M MINIPCIE2USB2 裏

インテル Galileo 開発ボードへの搭載

Mini PCI Expressコネクターはインテル Galileo 開発ボード(以下、Galileoボード)の裏側にあります。USB変換ボードをそのまま挿すとどうなるか、該当部分に添えてみたところ、Eee PC用の部分がGalileoボードから突き出してしまうことがわかりました。そこで、Mini PCI Expressフルサイズ用の位置で「FOR EEEPC」とシルク印刷のある部分を切断することにしました。

スルーホールがあるので、手で普通に折れるかと思って力をかけてみると…。なんとも別の部分(特にMini PCI Expressの固定用のねじ穴部分)で折れてしまいそうな不安な感じがします。安定させようと強く握ろうとしたり、机に押し付けて切断しようとすると、USBコネクターが基板上下にはみ出して実装されていることもあり、一緒にMini PCI Expressハーフサイズ用にするためのスルーホールにも力がかかってしまって微妙にグラグラしてますます不安な感じです。

そこで、手で折るのは断念し、Mini PCI Expressフルサイズ用にするためのスルーホールの手前部分を太めのペンチで握って固定&補強し、もう1本の細めのペンチで「FOR EEEPC(もう片方はCEマーク)」とシルク印刷のある方をつかんで下へ力をかけたところ、ちょうど想定通りにフルサイズ用のスルーホールの位置で切断することができました。

Project M MINIPCIE2USB2をMini PCIeフルサイズに加工

折る個所が1か所だけであれば簡単に手で折れるのですが、2か所なので少々工夫が必要になってしまっている感じです。

これをGalileoボードに装着して無線LAN(Wi-Fi)アダプターの株式会社バッファローWLI-UC-GNM4981254668078)を装着してみました:

GalileoボードへProject M MINIPCIE2USB2を装着

そしてBluetoothアダプターは、GalileoボードのUSBコネクターに株式会社アイネックスUSB-1134937925917815)を経由してロジテック株式会社LBT-UAN04C2BK4992072058286)を装着しました。

設定は“インテル Galileo 開発ボードでWi-Fi/BTを適法に使用する方法の実践”の“5. 無線LAN(Wi-Fi)の使用”と“6. Bluetoothの使用”の通りです。

USBハブを経由しないので、Linuxからは接続が以下のように見えます:

root@clanton:~# lsusb
Bus 001 Device 002: ID 0a12:0001
Bus 002 Device 002: ID 0411:01a2
Bus 001 Device 001: ID 1d6b:0001
Bus 002 Device 001: ID 1d6b:0002

この状態で正常に動作した…のですが、少し経ったところで無線LANに異常が生じました。以下のようなシステム・メッセージが出力され、無線LANが無反応になってしまいました:

[ 1627.173624] cfg80211: Calling CRDA to update world regulatory domain

ifupifdownなどをしてもダメでした。どうも、Galileoボードに近いところに搭載したせいで排熱がうまくいかずに熱暴走したようです(この無線LANアダプターは非常に熱くなります)。

仕方がないのでしばらく冷却期間をおいてから、Galileoボード側をBluetoothアダプターに、USBコネクター側を無線LANアダプターにつなぎかえて起動してみたところ、安定して動作しました。

まとめ

今回はUSB変換ボードとしてMINIPCIE2USB2を使用しましたが、他にもいくつか選択肢があります。Galileoボードを組み込みで使用するなどでUSBハブの使用が難しい場合には、これらのUSB変換ボードを使用するのも手段の一つとしてありかと思います。その際には発熱の小さい無線LANアダプターを選ぶなどの工夫が必要となるかもしれません。

ところで、このMINIPCIE2USB2はSoarland Electronic Co.,Ltd.によるSLMA1002 USB 2.0 to MiniPCI-E AdapterのOEM製品のようです。写真がそっくりですね。

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