WIRED.jpに、SANAE AKIYAMAさんによる「普及する広告ブロック:ウェブビジネスは生き残れるのか」という、論じられる機会が割りと少ないけれど、重要な問題に関する記事が出ていました。
しかし、なんというか。広告ブロックをするツールを作っているところが特定広告をホワイトリストに載せるのにお金を取っているというのは知りませんでした。もしかしたら、とは思っていましたが、このように事実として書かれていると微妙な気持ちになります。しかも、Googleもお金を払っているとは…。うーん。
確かにうっとうしい広告があるのは事実です。また、普通のサイトに紛れ込んでいる、明らかに成人向けな内容な広告など、配慮に欠けるものがあるのもまた事実です。でも、ですね。その広告で成り立っているサイトにとっては、まさに死活問題ですよね…。そのサイトの内容を見るけど、広告はブロックするというのは、はっきり言って「盗み」と変わらない行動なように、私には思えます。
一方で好ましくない広告をブロックしたいというのはわからないでもありません。
では、それを行うとしてどうすれば「盗み」にならないでしょうか…? とそのような方向で考えると、見たくない広告のあるページは、そのページそのものを見ない(広告をブロックするのではなく、ページそのものをブロックするツールとする)、ということになるんじゃないかなぁ、と思うのですが、いかがでしょうか? 見るならやはり対価を払うべきだということから導き出した結論です。
コンテンツ提供側も、広告ブロックをする閲覧者が無視できないほどの数になれば、今後は広告をブロックしている閲覧者(もはやお客様ではない)をコンテンツ提供側からブロック(逆ブロック)することも考えないといけなくなるでしょう(記事中でも試行した「Artstechnica」の例が出ていますが、丁寧に解説するページを代わりに表示すれば理解を得られると思いますし、それで理解しないのであればやはりブロックするしかないのではないかと思います)。あるいは、プログラムから見てコンテンツの一部になるようにサイト内に広告を埋め込む方法もあり得るでしょう。とはいえ、これもいたちごっこになるのかもしれません。
では最終的に広告ブロックする閲覧者の勝利(?)に終わるとどうなるのでしょうか?
それは「無料Web」というビジネスモデルの崩壊ですから、最終的には直接お金を徴収するモデルに移行せざるを得なくなるのかもしれません(中小のコンテンツサイトはその段階で撤退せざるを得なくなるでしょう)。そうなると、各サイトは基本閉じた状態になりますから、検索エンジンというWebの利用モデルも崩壊するかもしれません。
このように考えると、いろいろと広告「だけ」ブロックするツールは害が大きすぎると思います。
現実空間でもそうなのですが、できることを全部やっていいわけではないんですよね。例えば、できるからって盗んでいいわけではないです。ネット空間でもそれは変わらないはずなのですが、広告ブロックツールを使っている人はそのあたり、どのように考えているのでしょう? 情報の場合は盗んでいるという感覚そのものがないんでしょうが…。
などと、いろいろと考えさせられる記事でした。
ちなみに私は広告ブロックツールを使っていません。でも、成人向け広告を成人向けサイト以外に配信する行為は社会秩序を乱すのでブロックしたいなー、と思っています(先日職場で某大手新聞社のページを閲覧していた時に、広告枠にオンラインエロゲーの広告が出たときは目が点になりました)←違法化でもOK。
当然、WIRED.jpも広告モデルでやっているわけですが、こんな記事をこういう内容で掲載するというのは面白いですね。