大河原克行さんによるASCII.jpの連載記事「マイクロソフト・トゥディ」から「“挑戦者”として変身するマイクロソフト」という記事を紹介します。
Microsoft CEOとしてのスティーブ・バルマーさんのCEO経歴を詳しく説明しています。確かに彼がCEOに就任してからの売上高の伸びはすごいですね。おそらく次の決算の売上高も伸びていることでしょう。この記事にあるように、以前のMicrosoftはクライアントに依存したビジネスがメインの会社でしたが、今でも順調にサーバービジネスも伸ばしています。
そして、2000年当時は、クライアントPC向けのWindowsビジネスが主力だったが、バルマー氏のCEO就任1ヵ月後に発表されたWindows 2000に代表される企業向け製品群の強化、Server製品群の拡張などにより、ビジネス構成比は大きく変化。2013年度の業績では、最も大きな事業がOffice事業の247億ドル(約2兆5000億円)、次いでServer事業で203億ドル(約2兆円)、そして3番目にクライアント向けWindows事業の192億ドル(約1兆9000億円)となる。
(中略)
その一方で、2000年にはゼロだったXboxによるゲームビジネスは、米国を中心に最も売れたゲーム機としてもギネスに認定。2013年度の売上高は102億ドル(約1兆円)となり、同社にとって4番目の事業の柱にまで成長している。
近年のスマートフォンおよびタブレットでの失敗が大きく目立つため、こうしたスティーブ・バルマーさんのMicrrosoftを変革してきた部分への世間の評価は不当に低く見積もられているような気がします。
そのスティーブ・バルマーさんは最近もいろいろな変革を提唱してきたことを取り上げています。そして、
マイクロソフトは、CEOさえも変わらなくてはならない
という一言にすべてが集約されているということなのでしょう。
Microsoft Version 1.0がビル・ゲイツさんの時代、Microsoft Version 2.0がスティーブ・バルマーさんの時代、そして次のMicrosoft Version 3.0はいったい誰がどのようなMicrosoftにしていくのでしょうか?
一方で、ITmedia ニュースに「バルマー氏の後任を待ち受ける、あまりに難しい選択」というロイター発の翻訳記事が出ています。
ここ数年のパッとしない時期(スマートフォン市場への参入がうまくいないころ)のスティーブ・バルマーさんが退任を決意したと思われるまでの経緯や、その後のCEOに求められる決断、取締役会が株主からの要求をどのように判断しているかの試金石となる配当増を行うかどうかなど、そういった分析記事となっています。
野村証券のアナリスト、リック・シャーランド氏によれば、今回のバルマー氏の決断が、MicrosoftがValueActとその賛同者の意見に耳を傾けていることの現れであるのなら、恐らく早ければ9月19日にも配当と自社株買いが実施される可能性があるという。Microsoftは19日にアナリスト向けの年次イベントを開き、最新の配当を発表する予定だ。
Microsoftの株価が長期的に上昇していないのは事実ですから、実際に9月19日に実施されるかどうかは別として、積みあがった現金の使い道の一つとして実施する可能性はありそうですよね。
バルマー氏の近々の退任は、難しくて恐らく不可能に近い選択を後任CEOに迫ることになる。「島国化した巨大企業をリスクの高い変革を通じてモバイルの世界に推し進めるか」、あるいは「収益性は高いが成長性に乏しいPC中心のビジネスの孤島にしがみつくか」の選択だ。
今までもマイクロソフトは前者だったと思います。なかなかうまくいっていない件があったとしても、うまくいった件もあったわけです。どうもうまくいかなかった件が投資家にはとても大きく見えているようですね。長期的なことを考えるなら、Microsoftは分野の拡大路線を進まざるを得ないのではないかと、私には思えます。その理由はソフトウェアの財産的価値の相対的な低下が起こっているからです。サービスやデバイスなど、ソフトウェア以外の部分の価値がどんどん上がっている時代に背を向けては、Microsoftの将来像は描けないと考えるからです。
いずれにしてもスティーブ・バルマーさんが退任すれば、次の人がかじ取りをすることになり、結果として今までのMicrosoftとは違う路線を歩くことになります。上でも書きましたが、どんなMicrosoftになるのでしょうか?