504iシリーズで一番のお勧め

F504iおよびD504iの発売から少しずつ504iシリーズについてこのコラムでも書いてきて、感想を書くのが遅れていたSO504iについても7月23日のコラムで取り上げることができました。これでようやく504iシリーズすべてについて取り上げることができたので、今回はその504iシリーズの中でどれがお勧めなのかを筆者の視点で書いてみたいと思います。

504iシリーズは富士通からF504i三菱電機からD504i日本電気からN504i松下通信工業からP504iソニー・エリクソン・モバイル・コミュニケーションズからSO504iの5製品が発売されています。

F504i

背面に有機ELディスプレイを搭載し「浮かび上がる」表示ができるというのが特徴の製品です。この背面ディスプレイには時間(いくつかのフォントあり)、メールや通話の着信情報をテロップ状に時間、相手、件名(メールの場合)等を表示したりすることができます。また、非常に強力なメールの振り分け機能を搭載していることも見逃せない点です。

こういった点も十分特徴的なのですが、iアプリの実行速度が非常に高速であるというのが、私にとって一番印象的でした。しかしiアプリの起動自体は決して高速とはいえないのが残念なところです。特に待ち受けiアプリを設定しているとこの起動にかかる時間が結構気になる感じです。また、TFT液晶搭載というディスプレイなのですが、他社製品に搭載されているディスプレイと比較して、全体的にのっぺりと表示される印象があります。iアプリの高速な動作とも特性が合っていないようで、高速にキャラクタが移動するようなiアプリでは微妙に軌跡が残る感じがします。

さらに個人的にもっとも気になったのは操作にあわせて画面の表示が更新される際にちらつきが目立つことです。例えば文字で表示されるメニューを上下キーで移動させると元の部分を書き戻すのが見える感じで、なんともちらちら感があります。実際には操作時の速度が遅いわけではないのですが、こういった部分が見えているせいで「もったり」感が出てしまっているように思います。特にiモードブラウザを使用していると気になる感じです。

あともうひとつ、デザインを優先させすぎた結果、赤外線ポートがどこだかわかりにくいのも減点事項だと思います。マニュアルに書いてあるといっても、多分多くの人はマニュアルを読まずに使い始めると思いますし、わざわざ全部を読む人は非常に少ないはずです。ですから、携帯電話をみて、「あ、これだ」とわかるようなデザインと利便性の融合がさらに必要なのではないかと感じました。

D504i

おそらく完全に女性ユーザーねらいで投入したと思われる製品です。特にメールには力を入れており、受信メールが1000件、送信メールが200件保存できます。またフォントも充実しており、曰く「拡大フォントと丸文字フォントを気分や相手に合わせて使い分け。メールを読むのが、さらに楽しくなります。(このページより引用)」とのことです。画面のデザイン全体もかわいくまとめられており、確かにそんな感じです。また「プライベートダイアリー」という機能が用意され、その機能を呼び出すための専用キーまで搭載しています。通常、手帳にちょこちょこっとつけておくような日記とかメモみたいなものを携帯電話機でつけられるようにしたもののようです。さらにこのダイアリーと携帯電話側の機能をうまく連携させており、使いこなせればそこそこ有効に使えるのかもしれません。

液晶には262144色の表示が可能なものを採用しています。色味は他製品が採用しているものより微妙に黄味がかっていますが、比較をしたり真っ白な表示を行ったりしなければ気にならない程度でしょう。表示自体は非常に鮮明できれいな感じです。背面には丸窓のディスプレイが搭載されています。アナログ時計の表示をするのにいい感じです。また光っているときはブラックライトっぽくていい感じです。

さらに3D描画を行う専用のチップを搭載しており、それを使用した「チョコボ」が登場する待ち受けiアプリと固定iアプリ(iアプリメニューではないところから呼び出します)を搭載しています。キャラクタだけではなく、背景までも3D描画を行っており、このチップのすごさが垣間見えるところです。しかし、iアプリの起動、実行速度とも高速とはいえず、正直なところ処理速度が足りていない感じです。

N504i

良くも悪くも「N」です。従来からNシリーズを愛用してきており、iアプリもそこそこ使える程度でいい人にとってはお勧めということになるかもしれません。一番の特徴はディスプレイが高解像度になったことでしょうか。N503iS、N2002と非常に明るいディスプレイを搭載してきたNですが、今回はさほど明るいディスプレイ(特にデフォルト設定時)ではありません。しかし、発色は十分あり液晶の細かさが表示の自然さに結びついている感じです。基本的な部分は従来のNシリーズをそのまま継承しており、Nブランドに魅力を感じているユーザーには安心してお勧めできる製品でしょう。

しかし、504iシリーズの主要な要素であるiアプリと赤外線については少々難点があるように思います。

まず、iアプリのほうですがD504iほどではないにしても処理速度が足りていないように思います。特に3D描画を行っているとそれを感じます。待ち受けiアプリの起動も遅く、しかもiアプリ起動中になるまでもワンクッションあります。また、待ち受けiアプリが中断されるメニューが他機種と比較して多いよう(?)で、あまり快適に待ち受けiアプリが実行できない感じを受けました。さらに、待ち受けiアプリを活性化するための操作が他機種のように専用キーが用意されているわけではなく決定キーの長押しであるため、さっくりと活性化することができません。このため「機能的な待ち受けiアプリ」の使用に向いていないと思えます。

次に赤外線ポートですが、これが横にあるのもちょっと位置的によくないんじゃないかと思います。やはり通信相手と向かい合った時に自然に通信できるような位置に搭載するのが望ましいと思います。

P504i

折り畳みでありながら厚さ16.8ミリという圧倒的な「薄さ」が目を引きます。この薄さをさらに「薄い」と感じさせるアンテナの位置、慣れると手放せなくなるプッシュで開く機構といった特徴があります。この自動オープンは慣れるまで非常に違和感があります。最初私も余計なものをつけたなぁ、と思っていたのですが、使っているうちに手放せない機能となりました。九州松下電器製のDDIポケット向け端末KX-HV200/HV50にも同様の機構がありますが、まったく操作感は異なります。

本体の機能的には従来のPシリーズの構成を引き継いでおり、従来からのPユーザーであればすぐに使いこなすことができるでしょう。また操作をしてみるとわかるのですが、非常に動作がきびきびしています。これはiアプリも同様で非常に起動が早く、起動後の動作速度も十分です。液晶の発色も非常によく、黒がしっかり黒に見え、その上で明るい表示となっています。待ち受けiアプリもさくさく使えて(起動が遅いiアプリはそうもいきませんけど(^^;)、赤外線ポートもわかりやすい位置にあり、504iが504iである部分が非常によくできていると言えます。

フォントを3種類「通常文字」、「丸文字」、「ヘタ文字」搭載していたりアイコンを変更することができたりと、ユーザーが個性を持った設定を行うことができるようになっている点も評価できます。

ただし欠点もあり、着信音の再生品質があまりよくありません。音は大変よいと思うのですが、ノイズが乗るのです。ノイズの音量は変わらないため、一定の音量以下にするとノイズが非常に目立ちます。iアプリを使う際に音を小さくしていたりすると、とても気になります。またキーの押した時の感触が独特なため、慣れるまで違和感を覚えるのではないかと思います。これは薄さから来る違和感と同時に感じるため、慣れるまでは気になる人もいるのではないかと思えました。

SO504i

SO503i/iSシリーズよりも「より一般的なデザイン」となり、「より多くのユーザー」に訴えかけるデザインとなっています。特に赤の存在が大きく感じられます。実際に触ってみると表面加工で高級感ある感触に仕上がっています。重量が他製品と比較して多少あるため、微妙に重いような感じもしなくもないですが大きさはちょうどよく、持ったときの収まりはいいほうだと思います。液晶の表示は派手さはなく、とても自然な感じに思えます。

メニュー構成はSOシリーズの伝統をそのまま引き継いでいます。これはセンタージョグについても同様で、おなじみの「くりくり・ぷちっ」という操作体系となっています。キーの配置は若干見直されているため、SO503i/iSから移ってきた最初は少々戸惑うかもしれません。特に一部のキーが周りと段差がない形で配置されているため、慣れるまではキーの位置を確認しながらでないと押せない可能性があります。というか、私がそうでした(^^;

日本語入力を大幅に手助けしてくれる「POBox」もバージョンアップしたものが搭載されており、さらに入力精度が高まっているようです。これがあるからSOシリーズ、という固定ユーザーがいる部分でしょう。

iアプリの起動はそこそこの速度で、実行速度もそこそこです。しかし3D描画を行う際には制限がある関係で、なかなかスムーズな3D描画を行いにくいのが悲しいところです。待ち受けiアプリに関しては特も起動が遅いわけでもないことから普通に使えるでしょう。

全体としてみるとSOシリーズの一員として手堅くまとめた上で、ソニーらしいデザインの携帯電話に仕上がっているように思います。

結論

さてどれがお勧めかという私(属性=携帯電話ライトユーザー。。。たぶん。)のランキングは以下のとおりです。

  1. P504i
  2. SO504i
  3. N504i
  4. D504i
  5. F504i

まずP504iですが、これはダントツの完成度を誇っており、どれにしようか迷っているようなユーザーにぜひお勧めしたいと思います。SO504iはすべての機能が手堅くまとまっており、感触やホールド感のよさを評価しました。N504iは良くも悪くもNという感じです。これで504iとしての部分がもう少し高性能/使いやすければ評価もう少し上に持っていったかもしれません。D504iはiアプリが低速すぎたのが大きく減点対象となっています。504iはiアプリ機能を載せている点が売りのひとつであるのですから、この部分をもう少し高機能にしてほしいなぁ、と思いました。それ以外の点はそこそこいい感じだと思います。F504iは荒削りな印象を持ちました。磨けばいいものになりそうです。

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