FINAL FANTASI XI における規約違反への対処

はじめに

先週のことになりますが、スクウェア・エニックスが運営するオンラインゲーム FINAL FANTASY XI (略称 FFXI または FF11 )において、『規約違反行為者への一斉対処について(11/24)』というお知らせが掲載されました。この件について今回は書いてみたいと思います。

対処の概要

お知らせによれば、「不正な方法でキャラクタを移動させていた」約 1,100 アカウント、「特定のエリアやノートリアスモンスターが出現する地点で、不正な方法により実際には不可能なタイミングでアビリティなどを使用していた」約 6,400 アカウント、「 RMT に関与していた」約 4,000 アカウント、合計約 12,500 アカウントに対して対処を行ったというものです。対処は、 9,000 以上のアカウントに対して強制退会処分、 2,500 以上のアカウントに対して会員資格の一時停止処分が行われたとの事です。

ここで専門用語がいくつかできているので解説を先にしておきます。

「ノートリアスモンスター」とは、一般的なモンスター(敵)とは異なるモンスターで、一般に他のモンスターより強かったり、大きかったり、色が違ったりしており、強さを調べると「計り知れない強さです」と表示されます。略称は NM で、一般にはこちらの略称を用います。 NM には出現条件として、通常の敵と同様に常に存在するもの、特定の条件をそろえると出現するもの、時間が来ると出現するもの、一般の敵と抽選で出現するものがいます。出現する範囲は幅広いものから、常に固定の地点に出現するものがあります。こんな NM がなぜ人気者なのかというと、 NM によっては固有のアイテムを持っており、それがゲーム内において非常に高価な価値を持つことがあるためです。もちろん、そうではない NM は放置されていることもあります。

「 RMT 」とは、リアルマネートレードの略称で、現実の通貨でゲーム内の金品をやり取りすることを指します。 FFXI では規約によって禁止されています。

「アカウント」とは、PlayOnline という FFXI を含む複数のゲームの土台となるシステムのアカウントを指します。このアカウントに各種ゲームのキャラクタ等のデータが関連付けされており、アカウントが使用できなくなるとゲームのキャラクタも使用できなくなります。また、1つのアカウントで複数のキャラクタを持つことができるため、1アカウントの強制退会処分=1キャラクタが消滅する以上の影響があります。

私の見解

先日の不正ツール使用者に対する処分に引き続いて今回の大規模な処分が行われたことは、スクウェア・エニックスがポーズではなく本気で規約違反などの不正行為を取り締まる姿勢を鮮明にしたということであると私は受け止めています。同社は、従来いろいろな対処をしていると各種メディアに対して語っていたものの、プレイヤー視点ではその効果がほとんど感じられないものでした。このため、スクウェア・エニックスは本気で取り締まる気がないのではないかと多くのプレイヤーが感じていたものと思います。

それに対して、スペシャルタスクチームの発足発表とその成果の発表、そして今回の1万アカウントを越える対処を行い、なおかつその対処の内容や内訳の公開など、従来プレイヤーがスクウェア・エニックスに対して抱いていた不信感を拭い去ることができる希望を与えるものであるといえます(情報公開は大事です)。

また金銭面では、1アカウントに平均3キャラクタが関連付けられているとして、約 1,000 円(手数料を除くとスクウェア・エニックスに入る金額はこれくらいだろうと推測)× 9,000 以上アカウント = 約 9,000,000 円、つまり月額 900 万円以上の収入対象を切り捨てたことにもなります。そういった面でもスクウェア・エニックスは本気で対処を開始したと見ることができます。

この結果、一部の RMT 会社は FFXI からの撤退を行い、また撤退を正式に表明していなくても在庫がすべてなかったり、一部のワールド(全てのプレイヤーが同じ仮想世界に参加しているのではなく、ゲームをするのに適切な人数ごとに並行する世界=ワールドを構築してその中に分かれて参加しています)向けの在庫がなかったりしています。スクウェア・エニックスの対処が実際に実を結んでいることを見ることができる点が、これまでの対策とは異なる点だといえます。

RMT や不正なツールの使用を葬り去ることによってプレイヤー同士で人気のある NM を正常な形で取り合うことができるようになったり、他のキャラクタに対して優位に立つための不正なツール使用行為を取り締まることによってプレイヤー同士が正常な形で切磋琢磨するようになったりなど、ゲーム性の向上に寄与します。無論、貨幣価値の正常化にもつながり、ゲーム内経済(変な話ですが、本当に経済があるんです、ゲーム内に)の正常化にもつながります。ゲーム内の経済が正常化すれば、ゲーム内通貨を稼ぐ意欲の向上という効果も与えるでしょう。

まとめ

このように FINAL FANTASY XI というゲームの正常化のために、スクウェア・エニックスが本腰を入れて取り組み始めたことを実感することができる状態になってきました。今まではこの実感が欠如した状態であり、本気でスクウェア・エニックスが対応しているのかどうか信じることが難しい面もありましたが、これで信頼することができるようになってきたのではないでしょうか。今後とも継続に対処を続けて、安心して遊べる状態を維持していただけることを希望したいと思います。

また、他のオンラインゲームの運営会社にも今回のスクウェア・エニックスの対応はよい意味で影響を与えるのではないでしょうか。

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