彼が米国時間で 10 月 5 日、亡くなったという記事を職場で目にしました。
確かに彼は長く健康問題があることが知られていたし、今年8月には Apple の CEO を継続できないとして辞任したことも知っていました。しかし、現実に彼が亡くなったという記事を見たときには、「え………?」と思考が停止しました。そして思考が元に戻ってから、「あぁ、その時が来たのか」と思いました。
彼は私にとって、この業界の中であまり好きではない人物、いえ、もっと正確にいうのであれば、嫌いな人物でした。それは彼の個性や考えに共感できない部分に対してであって、死んでしまえ、などと思ったことはなく、無能だと思ったこともありませんでした。ただ嫌いだったのです。
もちろん、個人的に彼を知っているわけもなく、各種書籍や記事に登場する「彼」に対する個人的印象からのことです。
しかし、個人的に嫌いだとは言っても、彼が業界の指導者の一人であり、有力者の一人であることには変わりなく、敬意を持ち続けていました。私がパソコンを始めたころには彼はもう業界で知らぬものはいない有名人であり、偉大な先人だとも考えていました。その先人たる彼がこうして亡くなってしまったということに、予想外の衝撃を受けました。そして惜しい人を亡くしてしまったものだと、本当に悲しく思います。らしくもなく、記事を読みつつ涙が出てしまいました。
彼は業界を独自の視点で捉え、絶妙なバランスに調整した商品を生み出してきました。それを私が好むと好まざるとに関係なく、業界全体に大きな影響を与えてきました。現在のスマートフォンブームも彼が引き起こしたといって過言ではないでしょう。その彼独自の視点が失われることは本当に残念です。
彼が歴史になるには早すぎるだけに、さびしく思います。