iPhone 4S の発表
現在、もっとも注目されているスマートフォン iPhone シリーズの新製品である iPhone 4S が発表されました。日本ではソフトバンクモバイルと KDDI(au by KDDI) から販売されると発表がありました。今まではソフトバンクモバイルのみであり、キャリアを選択するという必要性(自由性)がありませんしたから、これは大きな変化です。
個人的な印象
ソフトバンクモバイルは、その前身である Vodafone 時代のネットワークの上に立脚しています。そのため、グローバル品質となっており、日本品質よりもやや劣るネットワークであるという印象を持っています。また、電波の周波数帯が 2GHz 帯のみであるということもハンデになっている面があるでしょう。一方、KDDI は良くも悪くも日本品質で、比較的どこでもつながることや、スマートフォンに出遅れた関係で他社よりもまだネットワーク・トラフィックに余裕があるのではないかという印象を持っています。
あくまでも印象であって、それが事実なのかどうかはちょっとわからないのですが…。
とりあえず、上記のように考えるとソフトバンクモバイルよりも KDDI を選んでみてもいいのではないかと考えそうになるのですが、それはそれで 1 つ引っかかる点があります。それはネットワークの方式が CDMA2000 系であるということです。
CDMA2000 系列の仕様上の弱点(1)
CDMA2000 系列(KDDI)は、W-CDMA 系列(ソフトバンクモバイルおよびNTTドコモの FOMA シリーズ)と比較して、2つ仕様上の弱点があります。そのうちの1つはパケット交換と回線交換通信を同時に使用できないことです。これは従来型携帯電話ではそれほど大きな弱点ではなかったのですが、スマートフォンでは大きな弱点に変わるのではないかと私は見ています。
スマートフォンによる通信(パケット交換)はユーザーが明示して実行する以外にもアプリケーションが必要に応じて随時通信を行います。この通信と回線交換の通信(通話)が排他というのは大きな制限事項となるように思えます。
たとえば、通話中にスマートフォン・アプリケーションがデータの更新をできない、とか、スマートフォン・アプリケーションがデータの更新のために通信をしていると通話できない、あるいはパケット通信が停止する、そんな状況は困るわけです(かつて試したときは、パケット通信中に着信できなかった気がします)。
CDMA2000 系列の仕様上の弱点(2)
これはいうまでもなく、最大通信速度(理論値)の差です。ソフトバンクモバイルは下り最大 14.4Mbps、上り最大 5.76Mbps であるのに対し、KDDI は下り最大 3.1Mbps、上り最大 1.8Mbps となっています。実測値が出てくるまでなんともいえませんが、上記の数字は無視できないほどの差があります。
ただ、実際にスマートフォンを使用するとわかるのですが、とても理論値で通信できているとは思えない体感速度です。実測値に期待がかかります。
私ならどうするか
KDDI の通信網を信じて選択するのであれば複数台もちをするのが現実的かなぁ、と思います。もっとも、私は常に複数台持ちなので、上記で述べた制限はそれほど困るものではありません。しかし、1台持ちの人は上記のことを十分理解してから購入時に契約するキャリアを選択したほうがいいように思います。理解しないで契約すると、現実を知ったときにやや悲しくなるかもしれません。