はじめに
ワンセグ対応の携帯電話はすでに100万台以上が市場に出ているといわれています。また、ワンセグ対応のUSB接続型チューナーも飛ぶように売れ、ロジテックの LDT-1S100U とバッファローの DH-ONE/U2 が常に品切れ状態となっています(バッファローは「USB2.0対応ワンセグチューナー『DH-ONE/U2』に関するお礼とお詫び」というプレスリリースまで出しています)。
このようにすでに認知され普及が進んでいるワンセグと、いまだにあまり活用されていないモバイル動画について考えてみたいと思います(なお、今回は対象を携帯電話に絞っています)。
ワンセグが受け入れられた理由
それはとにもかくにも、テレビが携帯電話に入ったというわかりやすさにあるでしょう。使い方をすぐに想像できますし、実際その使い方は正しいわけです。使うためにあれこれマニュアルを読む必要がない点は、計り知れないアドバンテージです。また、放送局自身が自身の電波を使ってアピールしている点も見逃せません。他のサービスが各局の電波を使ってCMを打つにしても、同等の頻度で行おうとするととんでもない投資額が必要になります。とはいえ、放送局側も放送設備に多額の投資をしているわけですから、大きく条件が異なるとも言い切れない面があります。
モバイル動画が受け入れられていない理由
サービスが開始された初期の頃には、まだ定額制が導入されておらず、せっかくキャリアが多額の費用をかけてアピールを行ったのにも関わらず、ユーザーが使用を控えたことが最初の躓きだったのではないでしょうか。その後、各キャリアともあまり積極的にモバイル動画をアピールした様子はありません。最初の躓きのまま、現在があるのかもしれません。
類似のフォーマットと仕組みを用いる、いわゆる「着うた」および「着うたフル」などが大いに活用されているのとは雲泥の差です。
ワンセグがモバイル動画を救う?
私には、これだけ好意的に受けられているワンセグがモバイル動画を救う可能性があるように思えます。ワンセグによって携帯電話で映像を見ることにユーザーが慣れれば、ダウンロードやストリーミングによるモバイル動画に対する抵抗が減り、また興味や関心を喚起する可能性があるのではないでしょうか。現在のワンセグはサイマル放送ですから通常のテレビ番組と同等です。これに対して個性的なモバイル動画の世界はこれから伸びる可能性が多分にあるでしょう。そして現在なら通信費は定額制ということもあり、使い始めればユーザーがコストを理由に使用を控えることもありません。そして通信速度の高速化の波も訪れています。
これからモバイル動画の第2幕があけるのではないでしょうか。
まとめ
現在はまだまだマイナーな存在であるモバイル動画の世界は、ワンセグからいい影響を受け、独自の展開を迎える時期にさしかかっていると言えます。ワンセグによって携帯電話で映像を見ることに慣れ、定額制と通信速度の高速化という要素によって大きく押し出されようとしているように見えます。今後、通信速度の高速化に合わせて携帯電話側で扱える容量の増加や液晶画面の高解像度化なども行われてきます。これらも含めて、私は来年以降のモバイル動画の分野は発展するのではないかと予想しています。
また、現在の携帯電話は自身でモバイル動画の撮影をして、それをメールに添付して送付したり(一部機種では)ブラウザからアップロードすることすらできます。誰もが好きなモバイル動画を撮影しては発信する時代も来るかもしれません。