Transmeta による Intel 提訴

はじめに

2006 年 10 月 11日に、Transmeta が Intel を特許侵害で提訴した、というニュースが流れました(参考:Transmeta、特許侵害でIntelを提訴 〜Core 2プロセッサなどの販売停止を請求 – PC watchTransmeta社,マイクロプロセサ特許侵害でIntel社を提訴 – Tech-On!など)。

今回はこの件についての私見を書いてみたいと思います。

何を求めているのか

各種報道によれば、今回の提訴では、対象となる製品群が掲載されており、販売停止およびロイヤリティ支払い等を求めているものの、非常に内容の薄い提訴内容となっています。具体的にどの製品の何がどの特許に抵触している、というものではなく、PC Watch の記事によれば「電力効率技術に関する 10 の特許を侵害していると主張」し、「同社は補償を求める交渉を行なってきたが、Intelがこれに応じないため、Intelの侵害製品の販売停止、およびロイヤリティの支払いを含む金銭的損害に対する賠償を請求していく」とのことで、非常に抽象的な内容となっているように見えます。

Transmeta によるオリジナルのリリース Transmeta Announces Patent Infringement Lawsuit Against Intel Corporation を見てみても、実のところ具体的な内容が書いていません。上記と同じことを書いているだけです(ほかに一方的な主張として Intel は Transmeta 製品をうんぬんと書いてありますが)。

私は法律の専門家ではないため、確定的なことを言える立場ではまったくないのですが、どうにもこの提訴は、DEC が Intel を提訴した一件や、3Dfx が NVIDIA を提訴した一件を思い出します。前者では DEC の半導体部門の知的所有権と工場の一部を Intel が買収するということで合意し、提訴は取り下げられました(参考記事:米Intel、DECと和解、Alphaの製造ラインを買い取り – PC Watch)。後者では 3Dfx が NVIDIA に各種資産と従業員を売却し、清算することで合意し、これまた提訴が取り下げられました(参考記事:米3dfx、資産をNVIDIAに売却し会社を解散 – PC Watch)。

このことから、Transmeta は主要ではない知的財産を Intel へ高額で売りつけるか、自社そのものを Intel に買収してもらうことを望んでいるのではないかと見ています。これが事実かどうかは別として、いずれかの方法で決着がつくのではないかと思うのですがいかがでしょうか。

特に現在は Intel に対して AMD というライバルがおり、AMD はグラフィックス市場の2大勢力の片方 ATI を買収した直後です。Intel が Transmeta を買収したり、Transmeta の一部知的資産を買収したりしたとしても、独占禁止取締当局も待ったをかけないのではないかと思えるのです。つまり、実行するにはいいタイミングなんじゃないかなぁ、と思えるわけです。

Transmeta は一部製品の販売について AMD と協力関係にありますが、逆に言うと一部でしかないことで、否定する条件にはならないと考えています。

まとめ

プレスリリースや各種内容の薄い記事から上記のような妄想をしています。どの程度自信があって書いているかといえば、まったくのゼロです。それでも、今回の提訴の意味を考えてみたいと思ったのは、私が IT 業界で仕事をしているからだと思います。それに、提訴の対象製品と無関係に生きているわけではないことが大きいです(Pentium III や Pentium M 、Pentium 4 などの製品を個人的にも使っていますし、仕事でも使っているわけです)。

とりあえず現時点で思っていることは上記の通りなのですが、これが当たるのか外れるのかを含めて、今後の展開に注目していきたいと思います。

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