週刊iガイドにみるNTTドコモの戦略あるいはジレンマ

概ね毎週月曜日に更新されるiモード上の「iMenu」には「週刊iガイド」というコンテンツがあります。これはNTTドコモが同社のお知らせやアピールなどを発表するページで、パケット通信料も無料(なぜかFOMAでは有料)で読むことができます。この週刊iガイドはFOMAとその他の機種では内容が異なっています。しかし、細かい差を除いて概ね両者の内容は同じであったと思います。

今回コラムで取り上げたいのは2002年5月27日付けで掲載された週刊iガイドの内容がFOMAとその他でかなり異なっていた、ということに関してです。

このコラムでも取り上げてきたように、最近のNTTドコモは504iシリーズを発売してこの拡販を狙っています。その一方で同社が新たに開始したFOMAの売り込みを行っている最中であることもよく知られていることです。今回のiガイドにはこれが非常に色濃く反映されているようです。

まず、FOMA側のiガイドですが、iMenuでのiガイドの特集(MARQUEE表示)は「アウトドア」です。これに対してPDC側のiガイドの特集(MARQUEE表示)は「504i徹底解剖」です。さて、次に中身を見ていきます。それぞれのメニュー構成は以下の様になっています。

FOMA PDC
ドコモ10周年企画「Mr.Childrenコンサートチケット iモード抽選予約」
オススメiモーション
今週の特集「アウトドア」
新着サイト
オススメiアプリ
注目サイト
ランキング「ゲームサイト地域別」
まもなく開幕2002 FIFA World Cup Korea/Japanリンク集
お知らせ&ヘルプ
motto!iモード
地域版iガイド
ドコモ10周年企画「Mr.Childrenコンサートチケット iモード抽選予約」
504i徹底解剖
今週の特集「アウトドア」
新着サイト
オススメiアプリ
注目のサイト
ランキング「ゲームサイト地域別」
まもなく開幕2002 FIFA World Cup Korea/Japanリンク集
顔文字~SLで行こう~
お知らせ&ヘルプ
motto!iモード
地域版iガイド

という構成となっています。

これだけ見るとあんまり変わらない、と思うかもしれません。しかし、FOMAでは504iシリーズの発売には一切触れれておらず、FOMAユーザーには現在のFOMA契約をこのまま維持して欲しいという意図が見えます。つまり、504iシリーズによる新しいiアプリの世界や3倍高速なパケット通信よりもFOMAの方を重視している同社の姿勢が見て取れるように思うのです。また、枝葉のメニュー構成にも差があります。

例えば「オススメiアプリ」では4サイトの紹介ですがPDCでは5サイトです。PDC側で追加されているのは「Disney-i」です。これは504i向けの待ち受けiアプリの追加に伴うものです。当然、504i向けのものはFOMA向けの週刊iガイドでは通知されないので、このように限られた情報提供がなされる形になっています。その他にも、「新着サイト」がFOMAでは1サイト、PDCでは3サイト、「注目サイト」がFOMAでは1+4サイト、PDCでは1+6サイトといったように、iモード関係においてFOMAはサブセットに置かれている現状がわかります。当然iモーションもありますが、メニューの豊富さという面ではやはり置いていかれているという事実は否めないでしょう。

NTTドコモはFOMAの優位性と次世代製を謳い、FOMAの販売を促進していきたいが、その上でPDCの進化系である504iシリーズの販売も促進していきたいという状態に置かれているといえます。504iシリーズの売り込みが予想外に進むと当然のことながらFOMAユーザーおよび潜在的なFOMAユーザーまでも食ってしまうことになります。なぜなら、FOMAユーザーのほとんどは先進的な技術に惹かれるユーザーであることが明白だからです。FOMAが現在必要とされているのは、PDCの完全なスーパーセットとなることでしょう。このためには、504i向けiアプリを更なる大容量といった面でサポートし、iモーションとテレビ電話を同一の端末でサポートし、なおかつ電池のもちがCDMA2000 1xより劣ることのないFOMA端末が求められているといって構わないでしょう。

しかし現在のFOMAはまったく売れていないといっていいD2101V以外ではiモーションとテレビ電話が両方使える端末もなく、504i向けiアプリは使えず、FOMAの30キロバイト向けiアプリもほとんど提供されていない、電池はもたない、一般的な充電器は使えない(街中の充電スタンドではサポートされないことも多い)、国際ローミングはいまだサポートされずWorld Walkerもサポート対象外のため海外では救い様のない状態であるという、ないないづくしの状態となっています。

中短期的にはやはりFOMAよりもPDCの504iシリーズの方がiモードという観点から見た際には得られるものが多いと筆者は感じています。これは、少なくとも以前から開始が予告されているデュアルネットワークサービスの開始までは続きそうです。


さて、最後にフォローをしておきたいと思います。料金プランおよびパケットプランの選び方によってはiモード通信料金はかなり下がりますし、通話料金も場合によっては下がることもあります。また、FOMA以外にも他社携帯電話(自社が不可なのが面白いところです)との間で写真付きメールの交換ができるというメリットもあります。目先の宣伝ではなく、自分にとって必要なサービスが提供されるものを選んでいくことが大切でしょう。それはNTTドコモに限ったことではなく、KDDIJ-フォンDDIポケットといったキャリアの選択に際しても言えることです。

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