仮想マシンの評価

はじめに

ここ数年、仮想化が IT 業界でのブームになっています。このメモでも取り上げましたが、今回はその仮想マシン(パソコンを仮想化する仮想マシンをここでは指しています)の評価の指標としてベンチマークを取る場合の注意点を指摘したいと思います。

問題のあるベンチマークの実施方法

仮想マシンを実現するソフトウェアが複数ありますが、それらを評価する際に、ベンチーマークを実行し、その結果を掲載している記事を見かけることがあります。しかし、これらの記事の中には残念ながら問題のある方法でベンチマークを実施し、その結果をそのまま掲載しているものがあります。

問題のあるベンチマークの実施方法とは、仮想マシン内部で完結するベンチマーク・ソフトウェアを使い、その結果をそのまま採用するという方法です。

なぜそれが問題なのか

まず、Windows XP で VirtualPC 2004 を動かし、その中で Windows 2000 を動作させて、ホスト OS と仮想マシン内 OS でそれぞれ「日付と時刻のプロパティ」を表示させて、キャプチャした画像を示します。

仮想マシンでの時間のずれを記録した画像

この画像の秒の部分に注目してください。ずれていることが分かります。

つまり、仮想マシンの時間は正確に刻まれるとは限らないのです。仮想マシン・ソフトウェアの拡張ソフトを入れるなどすることにより、時々ホスト側の時刻と同期を取り、実用上の問題を少なくするなどの対策が取られていますが、実際の時間の流れはホスト OS (実際)ほど正確ではありません。このため、この仮想環境内で完結するベンチマーク・ソフトウェアを使用して、その結果をそのまま採用してしまうことは、この不正確な時間な時間の流れの影響をモロに受けることになります。

このようなことから、ベンチマークの開始時と終了時にホスト OS など、仮想マシンの外と通信して、客観的な時間に基づくベンチマークを実施しなければ、その結果は適切とは言えないのです。

まとめ

以上のように、仮想マシン内部で完結するベンチマークの結果は信頼性に問題があることを知っておくことが、仮想マシン・ソフトウェアやハードウェアを評価する際に必須となります。つまりは今後の必須の知識であるといえるかもしれません。

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