「Intel Galileo Development Board」を使用する準備

はじめに

インテル株式会社より借り受けた「Intel Galileo Development Board」を使用するために必要なパーツの準備をしましたので、そのレポートをします。

関連ページ

試用している「Intel Galileo Development Board」などについて

  • 本記事で試用している「Intel Galileo Development Board」は、インテル株式会社より“さかきけい”個人に貸し出されたものです。このため私の勤務先等とは一切関係がありません。
  • 本記事は“さかきけい”が完全に自由意思で書いているもので、インテル株式会社からは何らの要請、制限等は受けていません(あるのは返却期限のみです)。
  • ボードのリビジョンは「量産前」のもので、Maker Faire RomeでIntel CEOのBrian M. Krzanichさんが発表した際に同会場で配布されたものと同等とのことです。
  • 海外仕様そのままなので「インテル Galileo 開発ボード」ではなく、あえて「Intel Galileo Development Board」と記述しています。
  • 日本で発売される「量産品」と仕様あるいは内容物が同等であるかは不明とのことです。

免責の宣言

本記事は“さかきけい”の作業内容を共有するためのものであり、何ら保証はありません。自己責任でのみ使用することができます。

準備をするもの

ここでは、市販品では賄えないと思われる2つのパーツについて自作することにしました。その2つのパーツは以下のとおりです:

  • RS-232レベルのD-Sub 9ピン・メス ⇔ 3.5ミリメートル・ミニ・プラグ変換ケーブル
  • Intel Galileo Development Boardが搭載しているメインチップIntel Quark SoC X1000に内蔵されているRTC(Real-Time Clock)を常時動作させるためのバッテリー・ユニット

この2つは筆者が秋葉原で軽く散策をした範囲では合致すると思われる市販品を見かけなかったため、作成することにしました。※1特に注意が必要なのは、3.5ミリメートル・ミニ・プラグに変換するシリアル・ケーブルです。よく見かけるこの手のケーブル(USBに接続するタイプで、シリアル側がミニ・ステレオ・プラグやフラット・ケーブルなどとなっているもの)は信号レベルが3.3ボルトあるいは5ボルトのものがほとんどですが、Intel Galileo Development Boardが必要とするのはRS-232レベルなので使用できません。このあたりを注意することが必要です。※2

共通で必要なもの

シリアル変換ケーブルとバッテリー・ユニットを作成するために共通で必要となるのは以下のものです(筆者が使用した具体的な道具・材料は脚注で記載します):

  • 半田ごて(精密作業用をおすすめします)※3
  • 半田ごて台※4
  • ニッパー※5
  • 精密ピンセット※6
  • 耐熱線材※7
  • 精密プリント基板用はんだ※8
  • カッター・ナイフ

RS-232レベルのD-Sub 9ピン ⇔ 3.5ミリメートル・ミニ・プラグ変換ケーブルの作成

一般的なD-Sub 9ピンによるRS-232レベルのシリアル・ポートをIntel Galileo Development Boardが備える3.5ミリメートル・ミニ・プラグに変換するケーブルを作成します。必要なものは以下の通りです:

  • D-Sub 9ピン・メス(はんだ付け用)
  • 3.5ミリメートル・ミニ・プラグ(3.5ミリメートル・ミニ・ステレオ・プラグ)(はんだ付け用)

D-Sub 9ピンへのはんだ付け手順は以下の通りです:

  1. 線材を送信、受信、グランド用の3本をほぼ同じ長さ、送受信制御のショート用を折り返してショートさせることを考慮した長さ(基本的に前者の3本と同じ長さでOK)、DTRおよびDSRそしてDCDを折り返してショートさせることを考慮した長さ(前者2つよりも短いほうがいいでしょう)に切り分けます。ここでは、送信用を黄色、受信用を紫色、グランドを黒色、送受信制御のショート用を水色、DTR・DSR・DCDの折り返しショートを白色としました。
  2. 切り分けた線材の両端を3ミリメートルほど被覆を取り除きます。カッターナイフで線材をくるくると回しながら刃を当てると簡単に切り離せるはずです。
  3. 被覆を取り除いた線材の金属部分にはんだをしみこませます(半田ごてで温めながらはんだを当てるとしみこみます)。あまり多くのはんだをしみこませて盛り上がった状態にはしないようにすることがコツです。しみこませたあともほとんど太くならない状態が理想です。
  4. D-Sub 9ピン・メスの3ピンに送信用の黄色の線をはんだ付けします。
  5. D-Sub 9ピン・メスの2ピンに受信用の紫色の線をはんだ付けします。
  6. D-Sub 9ピン・メスの5ピンにグランドの黒色の線をはんだ付けします。
  7. D-Sub 9ピン・メスの1ピン、4ピン、6ピンにそれぞれ白色の線をはんだ付けします。
  8. D-Sub 9ピン・メスの7ピンと8ピンをショート(接続)するように水色の線をはんだ付けします。
  9. 白色の線3本をショートするようにはんだ付けします。

D-Sub 9ピン・メスにはんだ付けを終えたところ

※D-Sub 9ピン・メスのピン番号はD-Sub 9ピン・オスの左右反転であることに注意してください。さらにはんだ付け面は裏側なので、表側から見て左右反転しています。なので、裏側から見るとD-Sub 9ピン・オスを表側から見たレイアウトと同じということになります。ややこしいので注意してください。
※D-Sub 9ピン・メスの裏側に線をかしめるだけでも大丈夫だと思いますが、ここでは念のためはんだ付けをしています。

続いて以下のように3.5ミリメートル・ミニ・プラグに配線を行います:

  1. 紫色の線をミニ・プラグの先端になるようにはんだ付けします。
  2. 黄色の線をミニ・プラグの中央になるようにはんだ付けします。
  3. 黒色の線をミニ・プラグの手前(シールド)になるようにはんだ付けします。

※2014年1月16日追記:本記事をお読みになった方より、はんだ付けの1と2の配線が反転しているとご指摘をいただきました。2013年12月28日訂正とした内容が誤りで、本来の記事が正しいという残念な状況を招いてしまいました。上記の内容は再度訂正し「正しい」内容に修正済みです。大変失礼いたしました。

※2014年1月17日追記:現在掲載している説明通りにケーブルを再作成して正常に動作することを確認しました。→“「インテル Galileo 開発ボード」用のシリアル変換ケーブル他を再作成

ミニ・ステレオ 3ピン はんだ付け状況

※カバーや熱収縮チューブを使用する場合ははんだ付けの前の時点で適切に組み込む必要があります。

以上の作業が完了したら、テスターを持っている場合にはD-Sub 9ピン・メスの2ピンとミニ・プラグの先端、D-Sub 9ピン・メスの3ピンとミニ・プラグの中央、D-Sub 9ピン・メスの5ピンとミニ・プラグの手前(シールド)がそれぞれ接続されていることを確認します。また、それぞれの3端子がショートしていないことも確認します。

テスターを所持していない場合でも、RS-232の電圧はかなり高いので配線ミスは回路にとって致命傷になる可能性があります。間違っていないことを入念に確認しましょう。

※黄色、紫色、黒色のみが必須です。白色と水色は配線しなくても問題がないことが多いです。※9

D-Sub 9ピン・メス ⇔ ミニ・ステレオ 3ピン プラグ

完成したら絶縁をします。筆者はとりあえず食品用ラップ材で絶縁をしました:※10

D-Sub 9ピン・メス ⇔ ミニ・ステレオ 3ピン プラグ(絶縁)

バッテリー・ユニットの作成

Intel Galileo Development Board上のIntel Quark SoC X1000のRTC用に3ボルトを供給するバッテリー・ユニットを作成します。今回は最もポピュラーであろうと思われるコイン型リチウム電池のCR2032を使用することにします。必要なものは以下の通りです:

  • 電池ホルダー(2本の極をはんだ付けしやすいと思われるものを選択)
  • 2ピンの通常ピッチのジャンパー(メス)の配線に対応するコネクター
  • コイン(ボタン)電池 – CR2032

ジャンパー側のはんだ付けを以下のように行います(ジャンパーに合致するコネクターについて、筆者はPCパーツ向けに販売されているLED用延長コード※11をニッパーで途中で切断して使用しました。同様の場合はジャンパーのはんだ付けはスキップしてください):

  1. 線材をプラス極用に赤色、マイナス極用に白色をほぼ同じ長さで切り分けます。
  2. 2本の線材の片側を3ミリメートルほど被覆を取り除きます。
  3. 2本の線材の被覆を取り除いた部分にはんだをしみこませます(半田ごてで温めながらはんだを当てるとしみこみます)。あまり多くのはんだをしみこませて盛り上がった状態にはしないようにすることがコツです。しみこませたあともほとんど太くならない状態が理想です。
  4. ジャンパーの2ピン・ヘッダーにそれぞれの線をはんだ付けします。ショートしないように気を付けます。

テスターを持っている場合には、はんだ付け後にショートしていないかどうかを確認します。問題がなければ先に進みます。

続いてバッテリー・ホルダーに線をはんだ付けします:

  1. 赤色と白色の2本の線のジャンパーをはんだ付けした反対側を3ミリメートルほど被覆を取り除きます。
  2. 被覆を取り除いた部分にはんだをしみこませます(半田ごてで温めながらはんだを当てるとしみこみます)。あまり多くのはんだをしみこませて盛り上がった状態にはしないようにすることがコツです。しみこませたあともほとんど太くならない状態が理想です。
  3. バッテリー・ホルダーのプラス(+)極に赤色の線をはんだ付けします。
  4. バッテリー・ホルダーのマイナス(-)極に白色の線をはんだ付けします。

バッテリー・ユニット完成

完成したら絶縁処置をします。筆者はパーツを購入した際にパーツを入れられていた樹脂製の袋をかぶせました:

バッテリー・ユニット完成(絶縁)

まとめ

このように、久しぶりに半田ごてを握って作業を行いました。特別難しいことはしていないのですが、写真を撮りながらの作業で、最終的には右腕がプルプルと震えるほどの疲労を覚えました。意識とは違うところで力が入っていたようです。慣れればこんなことないんでしょうけど。

さすがにはんだ付けそのものが10年以上ぶり(最後のはんだ付けはSlot 1にSocket 370のCPUを変換するゲタにジャンパーを飛ばしたときです)だったので、こんなものなのかもしれません。さらにいうと、PCパーツショップではないパーツショップに買い物に行ったのは20年以上ぶりでした。

行ったのは秋月電子(株式会社秋月電子通商)でしたが、店内には人が詰まって活気に満ちていました。自身が最後の方に行ったパーツショップでの記憶以上でびっくりしました。※12

ここで作成したパーツを使用して、Intel Galileo Development Boardに通電して動作確認するところまでは行いました。作成したシリアル変換ケーブルを使用してブートログの確認やログインも行えています。バッテリー・ユニットの効果はまだ不明です。しばらく電源を切っても問題なく時間が進んでいることが確認できればOKですので、しばらく時間をあけてから確認してみるつもりです。

次回は今回作成したシリアル変換ケーブルを使用して起動の様子や、LinuxとしてCPUなどがどのように見えるのかをお伝えしたいと思います。


  • 市販品でも同等のものがあるかもしれませんので、興味がある方は探してみてください。
  • もしも、RS-232レベルでピン・レイアウトが一致し、通信速度を115200bps、フロー制御なし、パリティビットなし、ストップビット1を指定できるなら、それでOKです。
  • 太洋電機産業株式会社のST-11
  • 太洋電機産業株式会社のTS-15
  • 太洋電機産業株式会社のSD-62
  • 主にハードウェア・フロー制御を行うための信号線を処理するためのものです。配線した方が汎用性が高まりますが、ハードウェア・フロー制御をオフにできるRS-232の場合には必須ではありません。
  • 熱収縮チューブも購入したのですが、この記事用に作成したのものは撮影用にあえて使用しませんでした。部品はすべて2個分購入してあり、撮影用と実用用の2種類を作るつもりで、今回は撮影用のものを作りました。バッテリー・ユニットも同様です。熱収縮チューブで加工してしまうと配線が見えなくなりますので…。
  • 株式会社アイネックスLED-30EX。2本入っています。
  • ちなみに行先に秋月電子を選んだのは、Google検索で必要となるパーツの型番で検索したときに上位に現れたからです。複数のパーツを検索しても同じだったので、同店にいくことにしました。というのも、検索済みで該当する必要なものがあると最初からわかっていたからです。これからは実地で少しずつ散策範囲を再度広めてきたいと思います。
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